106 始まり
「久しぶりだな、角内。お前もやっぱり異世界に来てたのか。」
「まぁ、な。」
角内はそう告げると、空を見上げる。
「ここがどこかは知ってるか。」
「ああ。」
罰が悪そうに福幸は言うと、全身を大地に預ける。
「俺、殺したんだな。人を。」
「ああ。殺したな。」
角内は短く肯定すると福幸を見る。
「お前は、人を殺した。そこに意味はあったか?」
「当然、殺さなければならなかった。」
殺さなければならない。
その言葉の重さは角内には計り知れない。
角内の手は血に濡れている。
福幸のそれとは比べ物にならないほど。
だからこそ、角内はその返答の重さをわからない。
分かってはいけない。
「お前が必要だと思ったのなら、それが正解だろう。」
「そうか。」
救いの言葉を求めたわけではない。
されど、救いの言葉が欲しかったのは間違いない。
かけられた言葉は、共感ではなく、慰めでもなく、ただ己のしたことを認めた言葉だ。
「そういや、どうやってここに入ったんだ?」
「んー、まぁ。ややこしいから実際に会って説明……」
「やっほー!! あ、久しぶり!! ナヒト!!」
「すまん、幻覚を見始めたみたいだ。」
「いや、気持ちはわかるが現実だぞ。」
「嘘、だろ? なんであの残念騎士があそこにいるんだ……?」
「……、色々あったんだよ。」
「……、分かったよ。」
ため息を深く吐きのそりと立ち上がる。
「どうした?」
「いや、あの残念騎士の後ろになんかヤバそうな雰囲気を感じてな。」
「あー、強欲か。」
「強欲?」
唐突に出た厨二病が喜ぶ単語に耳を傾ける。
「俺の協力者の一人だ。」
「何かしてるのか。」
「詳しい説明はここを出た後でもいいか?」
「……、まぁ別にいいが。」
軽くため息を再度つくと、無意識に構えていた不屈の魔剣を仕舞う。
「いい剣だな。」
「俺には勿体ない剣だよ。」
「見た目は普通なのに雰囲気がすごいな。なんか曰く付きの魔剣とかか?」
「色々後で話す。」
「了解。まぁ、俺もお前に頼まなきゃならないこともあるしな。」
「どちらにせよ、詳しく聞かせてくれよ? 角内。」
そう言うと近づいてきた残念騎士とその背後に控える青年を見ながら福幸はこう告げる。
「残念騎士は久しぶりだな。で、そっちの人は初めまして。俺は福幸那人。平凡な一般人って思っててもらえたら結構だ。」
「クハハハハ、二つの大罪を持つ者を一般人と言うのならば我は凡才以下となろうなぁ?」
「知るか。」
物語はようやく始まり始めた。
to be continue……。
あー,疲れたぁー!!




