105 決着
暴力の権化と化した福幸は、過去の英雄の力を以って御子を叩き潰そうとする。
剣とナックルが互いに火花を散らし合う。
この御子はその権能があまりにも強すぎてその強さに目は行っていなかったが少なくとも過去の英雄の技を部分的とは言え反らせる程度の実力はあるようだ。
「序盤のボスも大概にしておけよ!!」
(だが、まぁ。)
あのスプラッタ少女よりかは遥かに弱い。
証拠として、一撃で瀕死になっているのか?
否、完全に否だ。
確かに、苦戦はしている。
確かに、攻撃は通り辛く余分な手間は多い。
されど、その程度でしかない。
レオを殺し手に入れた変質した憤怒がある。
敵の得手物のリーチは短く一撃の火力も技の多彩さも全て優っている。
ならば、負ける通りなどない。
「オラァッ!!」
防御壁が再展開されるごとに絶妙な加減で破壊する。
性質など、三度破壊すれば見破れる。
技のコントロールは不屈の騎士の経験から察せる。
福幸のすることは体に受けるフィードバックを鋼の意志で耐え、全ての技を確実に当てることだけだ。
例えその技が付け焼き刃でも、動きは過去の英雄の経験そのものだ。
不格好ながらも形にはなっている。
経験のない体の負荷は全て憤怒の治癒能力で代用する。
無茶な動きは憤怒の力によって成し得る。
レオの力を使い、剣姫ローズを守った騎士の技を借りて福幸はその場に立つ。
それが故に、
「何故、どうして!!」
「何に対してか分からないが……、お前の能力対処法さえ知れば大した事ねぇんだよ!!」
福幸は、怒声混じりにそう応える。
まだ負荷はある。
だが、馴れ始めれば問題ない。
誤差はひどく、負荷は骨を砕く可能性は秘められている。
だが、所詮その程度だ。
目に見える事実から、目に見えない可能性へとデメリットは減少しつつある。
故に、福幸がここから先この御子に対して負ける未来は『存在しない』
油断なく、慢心なく、福幸は全力で相対する。
「これで、終わりだァァァァアアアア!!!」
記憶そのものに刻まれた経験は共有する必要すらなく、的確に御子の首を刎ねる。
決着はもう着いた。
「これでいいか? レオさん。」
血飛沫の中、自らの血と敵の血に塗れ福幸は勝利を宣言した。
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「どうやら、あっちは決着がついたようだな。」
「あひっ、あへっ。」
アヘ顔と言うべきか。
描写することを躊躇うような顔をしている御子を見て角内はため息をつく。
「はぁ、殺すか。有益な情報は得られなかったしな。」
ため息混じりに、多少残念そうにそう呟くと角内は手に持ったライフルを頭に突きつける。
「脳髄をぶち撒けて死ね、確実に死んで楽になれよ。」
慈悲と憎しみを込めて放たれた弾丸は頭部を粉砕する。
その様子を見て、一瞬何を思ったのか足を止めるとまた歩き出す。
「福幸、そっちは終わったか?」
「見りゃわかるだろ。お前もか?」
「ああ。」
些か、顔色が悪い福幸を労わるように声をかけると角内はポーションを渡す。
「これでも飲んどけ。罪悪感とか、気持ち悪さとか多少は緩和できる。」
「……いや、要らねぇ。この罪悪感は俺が受け止めなくちゃならないもんだからな。」
「全く……。はぁ、甘ったれてんな、お前。」
「レオにも、そう言われたよ。」
「そのレオってやつはお前が出した霧に消されたやつか?」
「ああ。俺に忠告してくれた良い人だった。」
「そうか。」
深くは聞かない。
雰囲気で察せる。
故に、彼は福幸の側に座る。
「全く、碌でもねぇよな。異世界って。」
「全くだよ、角内。後、話聞かせろよ。」
「こっちも言いたいことが大量にあるぞ? 逃げんなよ。」
「わかってるって。」
しばらくの間、二人は友の再会を共に噛み締めた。
二章はまだ終わりませんよ!!
後、戦闘シーン下手だなぁ。




