第二話
いつもの習慣で日が昇る前に目を覚ます。
どうしたらいいのかわからずぼーっと過ごしているとメイドさんが部屋に入ってくる。
お召し変えをとのことでメイドさんに手伝って貰って質素だが高級そうなドレスに着替える。
よくお似合いですといってメイドさんが出て行ったと思ったら朝食が運ばれてくる。
ドレスを汚さないように慎重に朝食を食べ終えると食後のお茶ということなのだろうかメイドさんが綺麗なカップに紅茶を注いでくれる。
戸惑いながらも口をつけるとフルーティーな香りが広がり心を落ち着けてくれる。
ゆったりとした時間を過ごしているとドアがノックされ大柄な女性が入ってくる。
「あらあら。貴方がシャルラさんね。なんて可愛らしいお嬢さんなのかしら。貴方の教育係を任せられたマダムよ。よろしくお願いするわね」
「シャルラです。よろしくお願いします」
お辞儀をするとマダムさんは微笑みながらも注意してくる。
「本当に何も知らないのね。これは教えがいがありそうだわ。早速礼儀作法からはじめましょう。淑女の挨拶はスカートを軽くつまんでこうよ」
マダムさんはお手本を見せるように実戦して見せてくれる。
真似して見せるがどこかぎこちなくなってしまう。
「緊張しないでもっとリラックスして」
もう一度やって見せると今度はうまくできたように思う。
「そう。上手よ。その調子」
その後も丁寧に優しく色々なことを教えてくれる。
時間が経つのは早いものでメイドさんが昼食を運んできてくれる。
「疲れているとは思うけれど食事のマナーを学んでもらうわ」
マダムさんは優美に食事を食べてみせる。
それを真似して食べてみるけれど中々難しい。
「ふふ。初めてですもの。焦らなくてもいいのよ」
普段の何倍もの時間をかけて食事を食べ終わる。
「ふふ。お疲れのようね。休憩をかねて中庭を案内してあげるわ」
マダムさんの後に続き部屋を出る。
移動する間はマダムさんに教わった歩法を心掛ける。
人とすれ違う度に頭をさげそうになる私にマダムさんは優しく語り掛ける。
「卑屈にならないで貴方はどうどうとしていればいいのよ」
意識して顔を上にあげマダムさんの後をついていく。
「さぁ。ついたわよ」
そこは色とりどりの花が咲き乱れ太陽が優しく降りそそぎ幻想的な風景を作り出していた。
「わぁ。すごく綺麗」
「気に入って貰えたようね。そこの貴方お茶の準備をしてくれるかしら」
マダムさんはメイドさんに指示を出すと中庭に設えられた椅子に誘ってくれる。