モフ神様と小豆
主人公視点に戻ります。
あれから女子トークで盛り上がりましたよ。
年齢の事で驚かれたり(同年代だと思われていた…若く見られて嬉しいけど……複雑だわ…)私は祖母に、彼女は祖父に育てられたという共通項があったりして、すっかり打ち解けた私達。
「良い機会ですからこれからはアンジェリーナ改め、冒険者リーナとして生きていきますわ。あの…それで…ですね………サチ様、私とお友だちになって頂けませんか?」
2日後、西側にある冒険者が多い街に行くというアンジェリーナ――リーナが頬を赤くしながら言ってきた。――可愛い過ぎるんですけど!これが萌えってやつ?!内心悶えながら快諾しましたとも!
異世界生活2ヶ月目、10歳年下の友達ができました。
◇◇◇
知り合いに紹介するって事でレベッカがリーナに付いて行くのを見送り、裏の薬草畑に向かう。
2ヶ月の間に薬草についても手入れの仕方やら色々教えてもらったから簡単な薬なら作れるようになったのよね。ほら、私って魔力だけは無駄に高いから。
薬草の手入れを終え畑の一角に目を向ける。地球産の胡瓜とトマトが幾つか食べ頃になっている。
レベッカが私専用の畑――家庭菜園程度だが――を作ってくれたので試しに『具現化』で種を出して色々育てているのよ。
流石モフ神様の森の中心だけあって発育が早いし味も凄く良いのよね。ここで栽培された薬草で作るポーションは他より効きが良いって評判なのもわかる気がする。
「お昼は胡瓜とトマトの冷製パスタにしようかな」
「――『ほいっぷ』と白玉入りのあんこもじゃ」
「わっ、モフ神様?!」
ずっと姿を消していたモフ神様が真後ろに立っていてびっくりした。
リーナには悪いが、まだモフ神様の事は内緒にしている。
あ、そのモフ神様ったら和菓子の材料で一番重要な小豆を気合いで創っちゃったのよね。よく似た植物があったから品種改良ってやつ?お蔭で薬草畑の隣に小豆畑が広がってますよ。どんだけ好きなんだ。
「私も食べたいから、おやつに作るね」
「ムフ~楽しみじゃ~」
したん!
長い尻尾を鞭のようにしならせ地面を叩いたと思ったら、小豆畑から無数の小豆が鞘から出て飛んできた。あっという間に小豆の山。軽く鍋10杯分はあるんじゃ……え、コレ全部使えと?
「足りんか?」
「イヤイヤ!多すぎ!こないだのがまだ残ってるってば!大体こんな量煮れる鍋も無いし」
「ムゥ…昨日食べれんかった分も食べるからの!おかわりもじゃ!」
「……ホント和菓子の事になると暴走するよね……」
取り敢えずこの小豆の山を『収納』して、生クリームを『具現化』するため画材道具を取りに行く。――先に冷やしておかないといけないからね。
よく使っていた市販の生クリームを思い浮かべてスケッチブックにさらさらと描いていく。『具現化』にも慣れたもんだよ。
手早く出した生クリームをこの家の地下にある氷室へ持っていく。ここならよく冷えるでしょう。
◇◇◇
「おぉぉぉ~~サチが言ってた通りじゃ!テッパンじゃ!」
「この組み合わせ最強だよね~あぁ美味しい~」
「おかわり!ほいっぷとあんこ…全部マシマシでじゃ!」
白玉クリーム善哉はモフ神様の大のお気に入りになったのは言うまでもない。
――だからといって大鍋一杯作ってた餡を全部食べるのはどうかと思う。また作り置きしなきゃ……
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