完全中立店
いかなる干渉も受けないとその店は宣言している。
古くからある都だったそこは、今や戦乱の渦中にあった。
そのため、物資は乏しくなり、人々はその地を離れていった。
だが、その店はそのこにいまだに残り続けている。
次第に、ほかの店がなくなったということもあってだが、その店は人気店へとなった。
その際に、一つの約束事を、店主が定めた。
店主は齢75。
昔は傭兵として、さらには傭兵隊長として大活躍をしていたという。
その時の給金を元手にこの店を開いた。
それゆえ、ここに来る誰もが一目を置く存在である。
その彼が定めたことは、この店は完全に中立な店であるということ。
撃っているのは、いわゆるコンビニに近い。
食料品から日用品まで。
アルバイトは昔いたがこの戦乱の世の中だ、今や店主が一人で切り盛りをしなければならない。
食料品はレーションが主で、日用品と言えば武器弾薬の類だ。
補充もままならないようで、棚にはかなりのスペースに空きがある。
それでも、この店はほぼ唯一の補給処として機能している。
そこでは敵も味方も関係がない。
全員が客として扱われる。
店主のぞんざいな態度も、この店の名物の一つとなっていた。
ここの店では戦闘やケンカはご法度。
だが一歩外へ出ると、そこは戦場だ。
今やかつての活気など見る影もないものの、それでも店は開いている。
店主が死んだとしても、誰かが続けてくれる。
店主はそう信じているようだ。