ある患者のお話
俺に近づくなぁ!!
来るなぁ!!
ここから出せ!!出してくれぇ!!
「今日のあの患者の容態は?」
「それはもう先生聞いて下さい、酷いんですよ…」
寄るな化け物!!
白い骨が俺に何の用なんだ!!
「はっはっは!!白衣の天使が酷い言われようだな」
「痩せてるって誉め言葉ならまだしも、白い骨って…人を骸骨みたいに」
「彼は精神を病んでいるから…まぁ、ここにいる者は皆そうだが」
「精神病院ですから、もう慣れました」
早く…ここから出してくれぇ……
頭が可笑しくなりそうだ…
「彼は退院の目処がたたない、重症患者だしな」
「早く他の患者様の様に、良くなればいいのですが…」
「そうするのが我々の務めだよ」
早く……
早く…誰か……助けてくれぇ………
「今日も食事を受け付けません、衰弱が激しいです……」
「ふむ…ここに来てからずっとだな……多少手荒になっても仕方ない、食べさせてあげてくれ」
近づくな!!なんだよそれ!!
お盆…?
うわぁ!!それを食えとでも言ってるのか!?
虫と泥……やめろ、食えないそんなもの…………おええぇぇぇ
***
ああ……
ここに来てからどれだけ経つんだ……?
なんでこんな目に……
他の奴等は何処に行った……?
「彼には面会者は来たかね?」
「ご両親はまだ……彼を連れてきたお友達は初日に顔を出されたきりです」
「そうか……」
そうだよ、他の奴等は何処に行ったんだ?
潰れた精神病院に肝試しに来た、俺の連れは……?
***
「落ち着いて下さい。失踪届けですか?」
ちげーよ!!俺のダチが恐らく幽霊にかっさわられたんだよ!!
助けてやってくれよ!!
「はぁ……幽霊ねぇ…、詳しい話をお聞きしますから、とにかく落ち着いて」
信じてねーじゃねーかよぉ!!
俺達、肝試しに潰れた精神病院に行って来たんだ!!
○○県の、△△町の山にある!!
着いた途端、やべー空気だったからさぁ、帰ろうとしたんだよ…したら、奴だけふらふら~って中に入っちまって…
明るくなるのを待って、中を探したんだが……奴はいなくて。
一旦、町に戻って、事情を仲間に話して10人位で探しに行こうとしたら……今度は、着かねぇんだよ。
あった筈の場所にその病院がねぇんだよぉ!!
「話はわかりましたから、とにかく落ち着いて。はい、その居なくなったお友達の写真とかある?
あ、それね。わかったわかった、一応聞き込みはしとくから…なんせ田舎だから、直ぐに見つかるよ」
***
…っていう、変な捜索願いが出されましたよ、今日。
なんですかね~、警察からかって楽しんでるんすかね~
…え?はい、自分ここに赴任してまだ半年位です。
は、ぁ……
はい……そうですか……
え?
もう、見つからない……
本当に、幽霊にかっさわられたんですか?
以前から、何人も……?
最後に、白骨死体となって、森の中で、見つかる、んです、か……