表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/139

心霊スポット

『ここかぁ……確かになんかでそうだね?』


画像の中で、画面の方に向かって勝ち気そうな女の子が振り向いた。



『まさかうちらの高校の近くに、こんな有名な心霊スポットがあるなんて知らなかったよね』


画面が左へと動き、その発言をしたと思える女の子を捕らえた。



『そうそ、私なんか知らないでここ通った事あったよ』


笑いながら声だけが聞こえる。ハンディカメラを構えている女の子の声らしい。



『あれ、絵美、もう映し始めてる?』


画面がぐりん、とまわり、最後の一人の女の子を捕らえた。



『うん、録ってる♪私も写りたいから、順番に録ってね!』



『はいよ』

『うん』

『わかった』



女の子達は、思い思いに応えた。



『んじゃ、改めて皆並んで~~』


絵美の号令で、歩道用の非常に小さなトンネルの脇で、3人が並ぶ。



画面に向かって、手を振ったのが菜月。

ピースサインをしたのがありさ。

大人しく微笑んでいるのが繭だ。



『ここはインターネットで公開されていた、有名な心霊スポットで~す!これから実証見聞したいと思いま~す!』


絵美の声が説明をする。



繭が近づき、絵美と交替した。



ぐるり、と撮影者を軸にして一周し、トンネルとその周辺を映す。



『んじゃ早速行ってみましょ~!』



全員、寄り添う訳でもなく、バラバラに入っていく。



画像は途中、全員が交替で出口を映したり、振り向いて入口を映したり、それぞれの顔をズームで録ったり、全身を映したりしていた。



画面の中のトンネルは、画像を通してもじめじめと濡れている様に見える。



『うわ!さむ~~~……トンネルってやっぱり寒いねぇ』


『絵美、ここ通った事あるって?』


『うん。この前の文化祭でさ、布地仕入れるのに安い店教えて貰ったんだけど、このトンネル抜けていくと早いよって教わって』


『誰だよそれ教えたの~~ウケルんだけどっ』


『その時は昼間だったしさ~~秋子と一緒だったから、おしゃべりしながらでなーんも感じなかったけどね』


『んじゃ何もでなかったんだ?』


『うん。帰りもここ通ったけど、荷物が重くて文句言いながら通ったからね~』


『それにしても、結構長いよねこのトンネル』


『そうだね。……100メートルくらいあるかな?』


『え~、秋子と通った時はそんなに長く感じなかったけど……』


『ちょっとヤダー、絵美、変なこと言わないでよ。繭が怯えてんじゃん』


『そんな事言って、怖がっているのはありさでしょ~~!』


『そういう菜月だって……早足になってるし』


『……皆……変なこと言い出さないでよ……』



徐々に恐怖が4人に伝染し、誰からともなく走り出す。



揺れる画像。



最初に外に出たのは菜月、次にありさ、繭と絵美が最後に同時にトンネルを抜けた。



4人共、画像の中で息を整えている。



『……もうっ……菜月が走り出すから……何かあったのかと思ったじゃん……』


『だって……絵美が変なこと……言い出すからさ~』


『何も出なかったけど……ちょっと怖い思い出来たね』


『あはは、確かに。後は明日、皆でハンディカメラの映像見てみよ~~♪』



絵美はゆっくりと画面に近づき、しばらくして画像は足元を映し、そこで止まった。




ある教室の中。



4人は、頭を付き合わせる様にして、心霊スポットで録った昨日の映像を見ていた。



「やっぱり特に何も映ってないね~~」

菜月ががっかりしたように言う。


「所々、変な光みたいなのが写り込んでなかった?」

ありさが聞くと、


「いや、どう見てもこれ…トンネルの濡れた所が光って見えるだけでしょ」

絵美が答える。



繭だけ、無言だった。



3人が不審に思い、繭に声を掛ける。


「繭、どうかした?」



繭は真っ青な顔で答えた。


「ねぇ……最後に映像録ったの誰?


私達、4人で行って……



なんで、最後、トンネルから出るトコ……




4人共、映像に映ってるの……?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ