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お姫様

あのね、昨日わたし初めてお姫様を見たんだよ!



ほんとだよぅ、色が白くてすごーくきれいなひとだった!




昨日ね、お母さんといっしょにお城?みたいなところに言ったの!



お母さん、お城に行ったことは皆にはないしょだよ、って言ってたから、ひみつにしてね!



お城はね、森みたいな中に、とても頑丈そうな門があって、そこを門を守ってる人?みたいな人と話して、通してもらって初めて行けるんだよ!



お城はすごーく大きくて、真っ白で……中に入ったら、いくつもお部屋があるからびっくりしちゃった。



でね、お母さんがここで待ってなさいって玄関のところで言ったのだけど、しばらくしても戻って来ないから、ちょっと冒険してみようかな、なんてお外に出たのね。




そしたらね!

絵本に描いてあるようなドレスを着た女のひとと森の中であったの!!




お城に入る前に、お母さんに、中の人と軽々しくお話しちゃいけません、なんて言われてたのだけど、驚いて立ち尽くしていたらお姫様から話してくれたんだよ~!!




だからね、お母さんにはないしょで少しおしゃべりしちゃったんだ♪




うん?




普段はお部屋の外に出して貰えないから、「おしのび」だって言ってたよ。



なんかね、何処か悪いところがあるみたいで、お抱えのお医者さんに止められてるんだって……


だから、門の外の世界を殆ど覚えてないんだって。

かわいそうだよね…


お姫様ともなると、自分の両親とも滅多に会えないって言ってたよ。


よく考えたら、お姫様の両親は王様だもんね、忙しいんだろうね~…




え?日本には王様いないって?


けど…お姫様いたのに?




そう、それで、お姫様とお話してたらお母さんがわたしを探しに来ちゃって!



急いでお母さんの方に行ったんだけど、お姫様に気づいて、お辞儀だけしてお城から出たんだよ。




ほんとだよぅ~!

またお城に行ったら、今度はこっそり写真撮ってくるね♪



お城の名前…漢字が難しくて読めないの。


今度読み方教えて欲しいな♪




☆☆☆




次に遊びにやって来た幼い従姉妹から、写真を見せられた。




《薙灘精神病棟》




私は、従姉妹の父親が仕事に息詰まり、自殺未遂を繰り返している事を最近知った。




なんて説明しようか迷ったが、やはり彼女の母親と同じ事しか言えなかった。




「…今度お姫様に会っても、何か失礼があったらいけないから、話しちゃ駄目だよ…」




幼い従姉妹も、いづれはお姫様の正体に気付くだろう。

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