動物園
その動物園は、非常に人気を博していた。
種類によって、幾つかのブース(建物)わけがされている。
ライオンやヒョウが見られる猛獣館、ペンギンや海豹が見られる北極館、鹿や狐、狸が見られる森林館、チンパンジーやゴリラの見られる猿館、ニシキヘビやワニの見られる爬虫類館、コアラやカンガルーの見られる有袋類館、そして兎やカピバラを見られる小動物館等である。
今回の物語の主人公は、この中のある動物である。
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「よ~~し、今日も綺麗にするからな~~、ちょっとどいてろよ」
貴方がそう言うから、私は重たい身体を動かした。
いつもの定位置に。
「お前はほんと、利口だな~~」
ポンポン、と私の体を叩き、ゴシゴシと部屋の掃除を始めた。
私はこの飼育係が大好きだった。
貴方がこの部屋にいる時間は、一日たったの30分程。
もっと……ずーっと傍にいて欲しいのに……
私の気持ちを知ってか知らずか、彼は掃除をした後、また私の傍に寄ってきた。
「お前はほんと……気持ちいい手触りしてるよな……編み目も綺麗だし」
うっとりとした表情で見つめられると、堪らない。
私は、とうとう、たった今、念願を果たす事に決めた。
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異変に気付いた、先輩飼育員がキョロキョロと彼の姿を探し始めた。
「……ったく、奴は何処に行ったんだぁ?掃除道具も置きっぱなしで……ああ、なんだよ、鍵も掛けてないじゃないか」
彼も私も、口をつぐんでその飼育員を見送った。
ああ、嬉しい。
貴方とこれから、ずーっと一緒なのね!!
「園長、アイツの姿がずっと見当たらなくて……トイレかと思ったんですが、どうやらそうでもないようで……」
「今日の奴の担当は何処だ?」
「猛獣館と、北極館と、猿館と、爬虫類館です」
「何処かに、血痕は残っていなかったか?」
「何処にも残っていませんでした。水中にも、血が滲んだ様な後は見当たりませんでした」
「掃除道具は、もしかしてあそこの館に残っていたか?」
「はい、その通りです」
「ああ……奴は多分、アイツのお腹の中だ」
園長は、私を指して言った。
私は何の痕跡も残さなかった筈なのに……何故園長にはわかったのかしら?
私は首を捻った。
さて、「私」とは一体どんな動物でしょうか?
A
アミメニシキヘビ。
ライオンやヒョウでは血が残りまくり、口にもお食事の後が(´∀`)
アミメニシキヘビは、アナコンダに比べて重量はないものの、人間を食べたという前例があるようです。(アナコンダは、絞め殺された人間は多いようですが、実際に食べるという前例はほぼないとの事。)
ヘビ相手だったので、飼育係も平気で触ったりしてしまったのですね、多分(´∀`)
因みにアミメニシキヘビの捕食方法は、がぶっと噛んで⇒絞め殺して⇒丸呑み。らしいです( ̄▽ ̄)
~動物との触れ合いにはご注意を~