暴露大会
ある夫婦が、自宅で素晴らしいご馳走を前にし、シャンパンをあけ、乾杯をしていた。
「私達の5年目の結婚記念日に乾杯」
「これからも楽しくやっていこう」
「ねぇあなた、私達お互い、相手の事には干渉しないって暗黙のルールがあるけど……今日くらい、お互い色々暴露しあいましょうよ」
「ハハ、俺に暴露する話なんてないよ」
「あら、ごまかしちゃって…それじゃ私から」
「お前が話したいだけじゃないか」
「ふふ。私達が付き合うきっかけになった、学生の時にあげたバレンタインチョコね、手作りだって言ったけど……実は市販のだったりして」
「なんだ、そんな事か。俺がホワイトデーに送った貴金属は、確か他の女にやるはずの物を使いまわしたよ」
「私はそれ、直ぐに売りに行ったっけ」
あははは、と二人は懐かしい学生時代に想いを馳せた。
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「そういや、社会人になって直ぐに別れの危機があったよな」
「そうだね~、あの時、貴方のトモダチから口説かれたりね」
「ああ、俺麻雀で大負けしてさ、金払えなくなって困ってたら、彼女とヤラセろって言われたんだよな」
「え~、結局、ヤらないで終わったけど」
「そうそ、後で苦情きたから、しょうがなくお前のエロい写真やってなんとか見逃して貰ったんだよ」
「だからかぁ、私の写真がネットで出回ったのは!まあ、それが宣伝になって、私がお金稼ぎに内緒でやってたAVビデオの売上が上がったからいいけど」
「ほとぼりが冷めた頃、偶然会えてよかったよ」
「そうね、会っていなかったらお互い今ここにいないわね~」
あははは、と二人は社会人に成り立ての頃に想いを馳せた。
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「私達が結婚するきっかけのアノコも懐かしいね」
「そうだよ、お前いきなり子供が出来たって言い出して……あの時はマジビビったぞ」
「うふふ、アノコ誰のコかわからなかったからさ~、一番お金持ってる貴方でいいかって」
「俺、結婚はよかったけど親になるのはまだ嫌でさ~!流れてくれて助かったよ」
「貴方のマズイ料理食べさせられたからよ」
「ああ、あの時の料理は知り合いの医者から貰った薬入りの、スペシャルメニューだったからな」
「まあ、アノコが生きてたら私達もちょっと違ってたかもね~」
「そうだな、今なら親になってもいいと思うかもな。そしたらスペシャルメニューは食べられなかったけど」
あははは、と二人は結婚のきっかけに想いを馳せた。
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「色々な経験をしてきたね、二人とも」
「そうだな、最近は落ち着いたがな」
「そうでもないよう!私最近、ヤクに手を付けはじめてさ……ちょっとお金使い込みしたりしてるし」
「そうか、こっちは浮気相手が妊娠したあげくに奥さんと別れてって言って聞かないんだよな」
「へぇ……スペシャルメニュー食べさせれば?」
「いや、そろそろ親になってもいいかな……って思える様になってきたし」
「そっかぁ、お互いお金かかるね~」
「そうだな、これからちょっと大変になるな~」
「……ちょっと、シャンパン終わっちゃった。私、次はワイン飲むわ」
「それじゃ俺はウイスキーといくか」
二人はあはははと、お互い仮面の様な笑顔を張り付けてそれぞれ前日から飲みかけだったワインとウイスキーに手をつけ……その後絶命した。
生命保険のかけられた男のウイスキーには、女が薬の売人から買い付けた青酸カリが。
男にとって邪魔になった女のワインには、知り合いの医師免許を剥奪されたヤブ医者から譲って貰ったヒ素が検出された。