かくれんぼ
「ねぇ、もうそろそろ帰らない?
夕暮れ時に帰らないと、神隠しにあうよ?」
ピンクのスカートの子が言った。
「へっ!神隠しなんて信じてんのか?
馬鹿馬鹿し!!」
黒いシャツの子が言った。
「私も聞いた事あるよ?
この神社で、夕暮れ時にかくれんぼすると、
浴衣姿の女の子が混ぜてって言ってきて、
代わりに一人、いなくなっちゃうんだって!」
私が言った。
「じゃあ、後1回やったらおしまいにしよう?」
眼鏡の子が言った。
「ねぇ、これからかくれんぼするの?
私も混ぜて?」
……赤いズボンの子が言った。
「もうやめて帰ろうよ!!
神隠しにあっちゃうってば!!」
ピンクのスカートの子が言った。
「何だよ、ビビってやんの。
あいつ、浴衣なんて着てねーじゃん」
黒いシャツの子が言った。
「そうだね、浴衣姿の女の子じゃないから大丈夫だよ。
皆でジャンケンね?」
私が言った。
「えー?混ぜてあげるんだから、その子が鬼でよくない?」
眼鏡の子が言った。
「うん、混ぜてくれるなら、私鬼やるよ♪」
……赤いズボンの子が言った。
「え、いいの?
じゃあこれが最後ね?」
ピンクのスカートの子が言った。
「よっしゃ!そう来なきゃ!!
逃げろ逃げろーー!!」
黒いシャツの子が言った。
「じゃあ、三十秒数えてね?
声が聞こえる範囲で隠れるからね」
私が言った。
「よーい、スタート!!」
眼鏡の子が言った。
「いーち、にーい、さーん……」
……赤いズボンの子が数えた。
「みーつけた」
「みーつけた」
「みーつけた」
「みーつけた」
「うわ!見つけるの凄い早いね!!」
ピンクのスカートの子が言った。
「本当だな!!参ったぜ」
黒いシャツの子が言った。
「……あれ?
誰か一人、足りなくなーい?」
眼鏡の子が言った。
「気のせいじゃない?
四人で遊んでいたでしょう?」
……赤いズボンの子が言った。
***
「みーつけた」
私が一番はじめに、赤いズボンの女の子に見つかった。
「貴女が、次のかくれんぼの鬼ね?」
私の肩に手をかけたまま、女の子はニヤリと笑う。
私は、思い出した。
この神社で、夕暮れ時にかくれんぼをし、
浴衣姿の女の子の代わりに一人、
いなくなった女の子は……
赤いズボンの女の子だった。
***
「なぁ、そろそろ帰ろーぜ?
夕暮れ時に帰らないと、神隠しにあうってさ」
青い帽子の子が言った。
「えー?神隠しなんて信じてんの?
情けなーい!!」
黄色い靴の子が言った。
「けど、私も聞いた事ある。
この神社で、夕暮れ時にかくれんぼすると、
赤いズボンの女の子が混ぜてって言ってきて、
代わりに一人、いなくなっちゃうんだってさぁ!」
カチューシャの子が言った。
「じゃあ、後1回やったらおしまいにしようか?」
茶色いベストの子が言った。
「ねぇ、これからかくれんぼするの?
私も混ぜて?」
……私が言った。