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相談

何から話して良いのかわかんねーけど…とにかく、聞いてくれよ!

俺、どうしたらいいのかわかんねー…信じてくれるかも、わかんねーけど…



お前も知ってる、Kいるだろ?ホラ、高校の時によくつるんでたじゃん?


そう、そのKだよ。



で、お前知ってるかわからねーけど、あいつの家って、外人がいんだよね。

ホームステイ?ショートステイ?とかっつーの?


そう。



で、だ。



順を追って話すと、今日俺はKん家に行ってきたんだ。



いや、たまたま本屋で会ってさ…久しぶりー、ってんで、対して仲もいいわけじゃなかったが、まぁそれなりに昔話に花が咲いて。



男が井戸端会議もなんだっつーんで、Kん家に行くことになったわけだ。



そう、たまたま。





いや、白状するとさ、ホントは外人のねーちゃんに興味あったんだよ。



だってKのやつ、高校の時は外人のねーちゃんがヤらせてくれるってウソぶいてたんだよね。



な?お前だったら、やっぱり行くだろ(笑)?



…で、本題はこっからだ。



Kん家に行った俺は、当然Kの2階の部屋に通された。



Kは飲み物を取りに下に行ったから、俺はトイレを探すフリして他の部屋をこっそり覗いてまわったんだ。




俺だって今思えばやり過ぎたって思ってる。



でもそん時は、金髪美人の外人さんに会えるかもって気持ちが先行して、そんな事なんでか考えなかったんだよ。



…で、ねーちゃんが住んでそうな部屋は見つけたんだが、誰もいなかった。



どっかに行ってるんだって最初は思ったんだが、それにしては余りにも部屋が整いすぎてたからさ、直ぐに気付いたよ。



今は誰もこの部屋にホームステイしてないんだって。




がっかりしてKの部屋に戻ったが、もうKとも話す内容は井戸端会議で尽きてきたし、外人さんはいないし、早々に帰ろうと思った。



で、戻ってきたKと少し話した頃にさ、視線を感じたんだよ。



フと顔をあげると、綺麗な金髪ねーちゃんがドアの隙間からこっちを覗いてたんだ。



嬉しくなって、声を掛けようとしたんだが、彼女の視線が睨み付けるような…いや、怨みを込めた様なものであるのに気付いてさ。



怖じ気付いて、彼女から目をそらして懸命にKとの会話に集中しようとした。




金髪ねーちゃんはしばらくドアから覗いて俺らを睨み付けていたが、そのうちに何かブツブツ英語で呟いているように感じた。



けど、Kは金髪ねーちゃんがブツブツ言っても彼女に気付かない様子でさ。俺がチラチラそっちを見てアピールしてんのに、全くの無視。



俺はその金髪ねーちゃんに怨まれる覚えはなくて、もしかして、Kと何か約束してたのに俺が邪魔したのかな、とやっと合点のいく考えが思い付いたんだ。



だから、Kはわざと彼女を無視してんのかって。




俺は、Kに無視されている彼女が可哀想になって、笑顔で手を振ったんだ。そして、手招きをした。



その時、彼女の目から殺気が消えて、驚いた表情に変わったから、俺は正しい事をしたんだなって思った。



したら、Kが何してんだって言うから、廊下に金髪美人がいるぞ、紹介してくれって言ったんだ。



すると今度はKがキレ出して、今は誰もホームステイしてねーよ、ふざけるなって言ったんだ。



その後、直ぐに二人で廊下に出ると、本当に誰もいなかった。



Kは、金髪美人のねーちゃんの容姿を事細かに聞いてきて、俺も思い出せる限りで答えた。



そして、Kが一枚の写真を見せてくれたんだが、そこには確かに俺が見た彼女が写っていたんだ。




この子だよ、日本に帰国して、この家に寄ったんじゃねーの?って俺は伝えた。



したらKのやつ、黙っちまった。



Kの様子も変になったし、いい加減帰ろうと思って、今度は本当にトイレを借りた。



洗面所で手を洗っていると、耳元に、ハッキリと聞こえたんだ。







英語で、『逃げろ』って。




***




俺が帰ろうとすると、Kは引き止めた。



様子が変だから事情を聞くと、写真の彼女はアメリカに帰国する日に、失踪したらしい。



行方不明のままなのだと。



だから、彼女の霊が、この家に来たのだとしたら恐ろしいから、今日は泊まっていかないかと。






俺は、変だと思ったよ。



少なくともKは、幽霊なんて信じるヤツじゃなかったよな?むしろ、信じるヤツをバカにするタイプだろ?



後さ、なんで行方不明ってだけで、幽霊なんて言葉が出てくると思う?

行方不明ならなおさら、俺が彼女を見たって言った段階で、家中、いや近所中探しまわったっておかしくないだろう?




どうして、彼女は死んだって前提なんだ?




だから、俺はKの家から逃げるようにして、こうしてお前の家に来たんだよ!



一番お前の家が近いしさ、お前何かと頭の回転いいし、幽霊話でも話は最後まで聞いてくれるだろうし…とにかく誰かに話を聞いて貰いたくて…





俺さ、Kが必死で俺を引き止めるのを見て思ったんだ。



Kは、多分金髪の彼女の失踪に関わってる。そして、彼女はもう死んでる。

…それが何を意味するのかは、わかりきってるけど…



で、Kは俺の幽霊話なんか信じてない。

多分俺が何かを知ってると思って、どうにかしようとして、引き止めたんだ。



彼女が死んでいたとしても、何処に死体があるのかわからない。証拠もない。警察にはこんな話出来ない。



…俺はどうしたらいいと思う…?




***




私は、取り乱す友人を一先ず落ち着かせ、共通の知り合いの潤が、確か霊能力者と知り合いだから、今度相談してみようと提案した。



それで多少安心したらしい友人は、そのまま今日は泊まっていく流れとなった。



「いや~、良かったよ、お前に相談して…それにしても、彼女はどうして最初、俺を睨んでいたんだろう?」



友人は頭を捻りながら、眠りについた。










私は、恐らく解答を知っている。



「彼女はきっと、私とお前を間違えたんだよ」



彼女をレイプしようとして、誤って殺してしまった私とK。

Kの部屋にいたから、彼女はこの友人を、共犯の私と間違えた。



…さて、今頃慌てているに違いないKと、こいつをどうするか相談するとしよう…

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