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足るを知る

僕は、足が速い。


けど、ひまわり組のヤツがいるから、幼稚園のかけっこではいつも2番だ。


僕は、ヤツがジャングルジムで遊んでいる時、背中を押した。


足の骨を折ればいいと思ったけど、首の骨を折った。





僕は、頭がいい。


けど、3組のヤツがいるから、小学校ではいつも学年順位が2番だ。


僕は、テストのカンニング用紙をヤツの机に忍ばせた。


それを見つけた教師にヤツは呼び出され、カンニングのレッテルを貼られた。


これで学校に来なくなればいい、と思ったけど、ショックを受けたヤツは学校の校舎から飛び降りた。





僕は、人気がある。


けど、4組のヤツがいるから、中学校の学年人気投票はいつも2番だ。


僕は、買い物中のヤツの鞄に商品を投げ込み、それを店員に告げた。


それで生徒会長に立候補出来なくなればいいと思ったけど、万引きの噂でヤツは引きこもりになった。






僕の家は、金持ちだ。


だけど高校では、E組のヤツがいるから、学校一の金持ちではない。


少し困らせてやれと、ヤツの家に火をつけたら、豪邸は全焼した。


そしてヤツも、その家族も、全員が逃げおくれた。






僕は、教授のお気に入りだ。


だけど、教授の一番のお気に入りの女がいるから、僕は常に2番手だ。


僕は彼女が大事な時期に大学に来られなければいいと、ネットで彼女の個人情報と、レイプ願望があると書き込んだ。


以来、彼女は行方不明になった。







僕は政治家になった。


だけど、派閥がわかれていて、僕を引き上げてくれた恩師が負けそうだった。


僕は、対抗派閥のトップが女性問題なんかのスキャンダルをでっちあげるよう、裏の人間に頼んだが、女性問題を警戒しているヤツは引っ掛からなかった。


困った裏の人間は、短気を起こしてヤツを海に沈めた。









僕は、重要ポストについた。


だけど、いつまでも恩師気取りのジジイが上にいて、正直邪魔になってきた。


僕は、再度裏の人間に頼んで、ジジイが政治家をやめたくなるようにお願いした。


ジジイは何らかの注射を打たれて、自分が誰かもわからなくなった。









僕は、政治家のトップになった。


だけど、この国は政治家の他に国王がいて、自分の思う通りに国を動かせなかった。


僕は、軍事クーデターを起こして、この国の王族を滅ぼした。











僕は、国のトップになった。


だけど、この星には僕の国より巨大で力のあるA国が幅を効かせていた。


僕は、核兵器のボタンをA国に向けて、ポチっと押した。









足るを知らない一人の人間が


星をひとつ、滅ぼした。

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