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威圧の効果が消えた後には

 俺たちはブルードラゴンたちが縄張りにしていた場所へと調査する事にした。

 マルガリータの王都からは歩いて三日程かかる距離だ。


「運河からはだいぶ離れているんだがなあ」


 俺は歩きながらつぶやいていた。

 まだ町から一日くらいの距離を行った所だ。

 ウォーテールたちとの戦いで干からびた土地は、この辺りにまで影響を及ぼしている。草木は枯れ、大地はヒビが入っている状態。


「ここまでは運河の水を引き入れられないよね」

「ちょっと距離があるからな。雨を待つしかないが……」

「私たちのスキルだけじゃ足りないし」

「ああ」


 俺とルシル、合流したセシリアに、道案内役を買って出てくれたララバイが同行している。


「空気も乾燥しているな、婿殿」

「セシリアもそう思うか」

「ああ、肌がカサカサになりそうだ」


 セシリアは自分の顔に手を当てて、さすった感じでそう思ったのだろう。それを見たルシルがいたずらっ子のような顔で見ていた。


「ど、どうしたんだいルシルちゃん」

「ふ~ん、お肌を気にするなんて、セシリアも女の子らしい所あるのね」

「ルシルちゃん、俺だって一応は女なんだ。少しくらい気にしないと、婿殿の夜伽よとぎで可愛がってもらえないからな」

「よ……えーーっ!?」


 ルシルが目を見開いて俺の胸ぐらをつかむ。


「ちょっとゼロ! どういう事よ! 夜伽って、そんな事セシリアとやってんの!?」

「まてまてまて! 誤解だ! セシリアの冗談だ! 俺は別にセシリアとそういう仲じゃ、おい!」


 急に変な話になるものだから、俺も動揺してしまった。まともに受け答えができなくなっている。


「おい! セシリア、じょ、冗談もだな、大概に……」

「おやぁ婿殿、この間は俺を抱きかかえて言ってくれた事、あれは嘘だったのか?」

「ななな、なんの事だよう!」


 身に覚えがないというか、いやまあちょっとセシリアは男っぽい口調のわりに、胸が大きくて腰はくびれていて、黙っていればかわいらしい女の子にも見えるんだが、それでもだ。


「ほ、ほら! 騒ぐものだから魔物が出てきたぞ!」


 俺は乾いた大地にうろつく影を指さす。


 赤く燃えるような目を光らせて、大型の犬のような姿の獣が数頭現れた。

 その額にはユニコーンのような角が生えている。


「ドラゴンの支配から自由になった土地には魔物がうろつくって、これで証明できたようなもんだ、なあララバイ!!」

「え、ええ。ゼロさんの推察通りでしたね。ブルードラゴンの縄張りであれば、こんな低級な魔獣は生息していられないでしょう」

「だよな! そうだよな!! だからウィブに乗ってすぐ移動するんじゃなくて、周囲を探索しながらこうやって影響がないかを確認するのが大事なんだよな!」


 俺はララバイの背中をバシバシ叩く。


 周囲の安全を確保しながら進んでいるから、ただ歩くよりは時間がかかってしまうが、こういった調査のためにやっている事でもある。


「さあ、楽しいおしゃべりはおしまいだ!! この地の平和を取り戻すために、魔物を退治しようか!」


 俺は剣を抜き払って、馬ほどの大きさがある巨大狼、ダイアウルフたちに向かって駆け出していった。

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