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塩の強化人間

「バイヤル、今までじっくり殺してやろうと思っていたがこうなってはやむを得ない。この場で息の根止めてやるぞ! お前ら、このジジイもろともやっちまえ!」


 エッチョゴの命令で荒くれ者たちが俺たちに向かってくる。


「来いっ、相手になってやる!」


 俺は聖剣グラディエイトを抜くと荒くれ者を斬り伏せていく。

 俺が剣を振るえば男たちがまとめて倒れていった。


「なんだ、思ったほど歯応えがないな!」


 俺の周りには倒れた男たちが山になっている。


「ルシル、大丈夫か!?」

「こっちは平気。辺境の村だからって訳じゃないと思うけど、雷の矢(ライトニングアロー)! Rランク魔法で戦闘不能になるなんて弱すぎよ。雷の矢(ライトニングアロー)! 数だけいてもこれじゃあね」


 ルシルは魔法を使いながらもしゃべる余裕がある。

 シルヴィアやバイヤルたちを背にして守りながらの戦いだが、この程度の連中に遅れをとる俺たちではなかった。


「なんだと、戦いは数じゃないのか!」


 エッチョゴは慌てふためいて荒くれ者たちのやられるさまを見てみる。


「戦力が拮抗しているのならそれは正しいがな」

「だったらなぜ、お前たちはそんなに強いのだ!」

「うーん……。世界を滅ぼす力のある魔王と、その魔王を倒せる力を持った勇者だからな。そんじょそこらの雑魚兵士がいくら集まったところで」


 俺が剣を振り抜くと、その剣圧で男たちが吹き飛ばされる。


「俺にダメージすら与えられないだろうよ」


 エッチョゴが愕然とする。


「そ、そんなぁ……。はっ! 凱王様っ! はっ、はいっ!」


 エッチョゴが何か独り言を叫び始めた。


「何だ気持ち悪いな」

「ぶわーっはっはっは! 凱王様がワシに語りかけてくださいましたぞ! これでワシも、ワシもー!」


 エッチョゴの叫び声が商館にこだまする。


「なっ、奴の身体がどんどん大きくなっていく!」


 見る間にエッチョゴの筋肉が盛り上がりその身体自体も大きくなっていった。頭が天井に届きそうなくらい筋骨隆々の怪物ができあがる。


「ゼロ、これ巨大化の邪法だよ。私も初めて見た……」


 ルシルが俺に教えてくれる。魔族の中でも使う者がいないという事だ。


「巨大化……だと」


 俺の身長を遙かに超える高さから拳が落ちてきた。


「おわっと!」


 俺が避けた床を殴りつけたエッチョゴの拳は、床を突き抜けてさらにその衝撃波を辺りにまき散らす程の威力があった。


「よけ、避けたなぁ!」

「ゼロ!」

「大丈夫だ、それにしてもこんなに強力になるとはな。巨大化、恐ろしい魔法!」


 エッチョゴは言葉にならない咆哮を上げて壁や屋根を破壊する。


「その分知能が低くなっているようにも思えるが……」


 俺は振り回される腕と、時折飛び出してくる蹴りを避けてエッチョゴに近寄ろうとする。


「間合いが、遠いなっ!」


 炎の槍(フレイムランス)をエッチョゴに向かって撃つ。

 炎が奴に突き刺さるがそれでも攻撃を続けてくる。


「感覚も麻痺しているという事かよ!」


 うなりを上げつつ俺を狙ってくるエッチョゴ。振り下ろされた腕に向かって俺は剣を構える。


「うぐわぁ!」


 剣がエッチョゴの腕を貫き、地を揺さぶる程の悲鳴を上げた。

 俺の剣はエッチョゴの腕を真っ二つに斬り割いて肩近くまで腕を引き裂く。

 エッチョゴは痛みに苦しみ出す。


「流石に命に関わる程の傷では痛みも感じるか。俺に勝てない事は判っただろう、いい加減諦めたらどうだ」


 俺がなだめるような声で話しかけるが、その俺にエッチョゴは頭突きで応えようとした。

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