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圧倒的な戦力差

 それでもガウスの白龍どもは大軍の圧力が強い。

 白龍の一体一体はウィブよりも大きく、氷のブレスと鋭い爪で攻撃を仕掛けてくる。


「止まっていたらやられちゃうでしょ! とっとと攻撃なさい!!」


 ガウスは役作りでやっていた口調も剥がれ落ち、地が出ている状態でまくし立てた。


「ギャース!!」

「ゴギャァ!!」


 ホワイトドラゴンは俺だけではなくルシルやセシリアたちにも襲いかかってくる。


「ルシル、俺がある程度数を減らす。その後は頼めるか?」

「いいよ任せて」


 ルシルは銀枝の杖を振りかざして電撃をドラゴンたちに浴びせていく。小さい雷でもドラゴンを丸焼けにするくらいは簡単にできる程度の威力は持っている。


「セシリア、ルシルの護衛をしてもらいたい」

「判った婿殿。ルシルちゃんには傷一つ付けないようにするさ」


 ルシルが攻撃したドラゴンの背後からすり抜けてきたもう一体のドラゴンをセシリアが長剣で真っ二つに切り裂く。


「城塞都市ガレイでの戦いを思い出すな。あの時は苦労したが、俺とてあれから婿殿やルシルちゃんの足を引っ張らないように修行をしているんだ! もう無様な姿は見せないさ!」


 頼もしい返事と共にセシリアはルシルのさばききれなかったドラゴンを相手に戦いを繰り広げる。


「ウィブ」

「かねてよりの作戦通りかのう」

「そうだ、空でドラゴンたちをかき回してやってくれ」

「承知!」


 空中に飛び上がったウィブが空で戦闘態勢を整えていたドラゴンの群れに突っ込んでいく。戦闘をする必要はなく、飛び回るだけでドラゴンどもの隊列が崩れる。

 俺はそれを見逃さず、混乱したドラゴンの塊を剣撃で粉砕していった。


「ぐぬぬ、そうはさせんぞ!!」


 矢を放ってきたのはガウス四天王最後の生き残りであるスナップ。指でつまんで投げてくる矢が複雑な軌道を描いて俺たちに向かってきた。


「SSランクスキル発動、豪炎の爆撃(グレーターボム)! 爆炎で吹き飛ばせっ!」


 飛んでくる矢だけではなく、その奥にいるスナップも狙って激しい炎を噴き出させる。


「ぼぎゃーっ!!」


 ガウスが解呪ディスペルを掛ける前に俺の炎がスナップを焼き尽くした。


「ドラゴンどももかなり数を減らしているし、お前を守る四天王はこれで滅んだ。後はお前だけだなガウス」


 俺は剣先をガウスに向ける。たじろいだガウスが一歩後ずさった。


「しゅ、集団戦闘用レイドボスクラスの強さに設定したんだから、アタクシ一人じゃあ戦いにならないじゃない……だいたい戦力を削いだり疲労を蓄積させたりするための罠をいっぱい仕込んでいたのに、それも役に立たないし! なによこれ! バイラマさん、いや、バイラマたちが造った世界なんてバグ過ぎてちっとも楽しめないじゃない!!」

「だからお前の言っている事はよく判らないけどさ、お前はそれをよしとして参戦したんじゃないのか?」

「ぐっ……」

「バイラマはもう手を引いたんだ。それでもまだプレイヤー? そんな階級だか所属だかでこの世界に住んでいるのだろうが」


 千匹いたドラゴンがもう残り数頭になっている。

 ウィブが囮になり注意が逸れた所でルシルが撃墜、セシリアがとどめを刺す。その体勢で残りのドラゴンも倒していく。

 見れば怪我らしい怪我は誰もしていない。


「お前もバイラマのように異世界から来たというのであれば、ここは素直に帰ったらどうだ?」

「な、なんだと……」

「もうお前に勝ち目はないと思うがな」

「ア、アタクシには解呪ディスペルがあるんだからね! これがあればお前ら相手には十分!」

「ではないな」


 俺は一瞬で間合いを詰めて剣を一閃する。


「は、はひっ!?」


 なにが起きたのか理解できていないガウスの両腕が雲の上にポトリと落ちた。

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