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白龍ズ

 俺の手が前に向けられる。崩れた塔の前に立っているのはガウスとスナップだけ。他は俺のスキルで粉砕した。


「アタクシの解呪ディスペルがあったからスキルを消せたけど、四天王はスナップ一人になってしまったねえ」

「済みませんガウス様。他の三人はガウス様よりも前に出ていたために勇者の攻撃をそのまま受けてしまいましたので」

「スナップだけでも残ってくれてよかったよ。本当、これじゃあ今までした準備が無駄よねえ。枯山水とか趣向を凝らしたフロアにしていたのに。残念」

「本当ですね、各階それぞれ趣がありましたのに」

「でしょう? それを最上階から見て、勇者一行が困っている様子を楽しもうとと思っていたのに」

「まったくです。風情の理解できない田舎者は、これだから困ります」

「だよねぇ?」


 ガウスは解呪ディスペルを持っているだけあって余裕がある。

 スナップとのおしゃべりに花を咲かせていた。


「ガウス、もうお前を守る奴はその投げやりな、じゃなくて矢を投げる奴だけになったな。四天王とか言っても俺の攻撃一発で散ってしまうなんて、少し期待外れだぞ」

「そんな事を言っていられるのは今の内! こうなったらしょうがない、千年間溜めに溜めた攻略部隊をここに投入するからね!」

「攻略部隊……」


 自信ありげなガウス。俺の予想通りであれば、地上界へ侵攻しようとした戦力を俺に差し向けるに違いない。


「出でよ、白龍ズ!!」


 ガウスが両腕を空に向けて突き出す。その腕から魔力の渦が空に伸びて白い空の中に白い雲を大量に作りだした。


「召喚っ!!」


 両腕をグルグルと回して魔力の渦を更にかき混ぜる。その混ざり合った魔力と雲が徐々に集まりだし、そこから大きな影がいくつも現れた。


「やはりな」

「ホワイトドラゴンだよゼロ。それもこんなにいっぱい」

「ああ、こうやって造っていたんだな。雲と魔力を触媒にして召喚をしていたなんて」


 空を覆う程の白龍の大軍。光りをさえぎりここだけ暗く影を落とす。

 ドラゴンたちのうなり声がその巨体と共に空いっぱいに広がった。


「お前が千年前相打ちにすらできなかった白龍を千匹! 地上に放つはずだったがここで戦力の投入だ!」

「いいのかそんな使い方をして」

「だまらっしゃい! 今ここでお前を倒し、余勢を駆って地上へとなだれ込めばいいのだよ!!」

「うーん……」


 俺の悩んでいる姿を見て勘違いしたのか、ガウスは得意気な顔になって俺を見る。


「命乞いをしてももう遅いんだからねっ!」

「いや、そうじゃなくてだな」

「な、なによっ!?」

「SSSランクスキル発動、重爆斬ヘビースラッシュ! 空飛ぶドラゴンどもを切り刻めっ!」


 超覚醒剣グラディエイトから放たれた斬撃が白龍どもに襲いかかり、手前にいた数十匹が切り刻まれてボトボトと落ちてきた。


「な、なっ……どう、どうして……」

「千年前の戦いを知っているらしいが、あの時の俺は思念体で戦っていたんだ」

「そ、それがなんだってのよ!!」

「判らないか? 肉体を得た俺は魔力も戻ってきている」

「だ、だから……」


 少しずつ顔色が青ざめてきているガウス。


「普段の俺が戦えば、こうなるって事だよ」


 次に放った斬撃で、今度は数百匹のドラゴンが肉片になって降ってきた。


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