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情報戦と世界展開

 俺とルシルはレイラと別れ移動を開始する。この近くとなると、マルガリータ王国が近いだろうか。


「ルシル、マルガリータの民はどうだろうか。退避に付き合ってくれそうか?」


 俺は少し不安だったのでルシルに思念伝達テレパスを使ってララバイたちへ聞いてもらっていた。

 ひとまずマルガリータ王であるララバイに連絡を取り国の状況を確認してもらう。皆が皆、冥界への避難をよしとしていない事が瘴気の谷にいる連中によって判ってしまったからだ。


「一応逃げる人たちは集めてくれているみたい。それとピカトリスたちが手伝ってくれて他の国にも連絡をしたみたい」

「そうかピカトリスがな」


 知識量なら誰にも負けないと豪語するピカトリスだ。こういった情報を扱う話となると彼の知恵と判断力はとても助かる。


「天界の連中が多方面へ展開していたら同時進行もあっただろうとは思ったが、各地の状況も確認できるといいな」

「うーん、そうね、連絡手段とか整備していなかったから……」

「そういう所は俺が王だった時にレイヌールの国内外へ伝達方法を作っておけばよかったな」

「こんな事になるなんて思っていなかったし、普段の生活についてはアリアたちに任せていたからね」

「確かになあ……。まあこうなったら今できる事をするしかないからな。西の大陸にいるトリンプたちにもどうにか連携を取らないとならないだろうし、そう考えるとピカトリスの知識はかなり役に立つだろう」


 俺たちがマルガリータ王国に近付くと城の周りにいくつもの白い煙が見えた。


「あの煙……もしかしてもう戦いが」

「いやきっと大丈夫だ」


 近くに行くと判るが、あれは炊き出しの湯気と薪を燃やす煙。食事のためのものだ。


「すご……あんなに人が集まって」


 ルシルが驚くのも無理はない。城の周りは城に入りきらない民たちであふれかえっていた。各地から避難してきた者たちだろう。


「ルシル、ピカトリスがいるぞ」

「え? ほんとだ!」


 俺たちは時間圧縮の高速移動をやめてピカトリスの前に移動する。ピカトリスにしてみればいきなり俺たちが目の前に現れたように思えるだろう。


「うわっ、ちょ、なにっ!?」


 ほらな。


「久しいなピカトリス」

「なっ、ななな、ゼロ君にルシルちゃんじゃない! 急に出てきたからびっくりしたわよぉ!」

「済まない済まない。それで状況はどうだ?」

「いきなりねぇゼロ君てば相変わらずせっかちさんね」


 女言葉を話すがこいつは一応男だ。それがクネクネとしなを作って俺にすり寄ってくる。


「アリアやレイヌール勇王国の民はどうか」

「それは大丈夫。あたしが補佐官としているんだから万一もないわよ。ちゃんと準備を進めているわ」

「西のトリンプたちトライアンフ第八帝国とかその配下の国々にも連絡は行っているだろうか」

「そこは凱王ちゃんに連絡役をやってもらっているから大丈夫だけど……ちょっとルシルちゃんの杖を見せて欲しいの」


 ピカトリスはルシルに近付いて懇願し始めた。


「い、いいけど……」

「ありがと!」


 ルシルの返事を聞くか聞かないかの内にピカトリスは銀枝の杖を食い入るように調べ始める。


「事前に聞いていたけどこれなら行けそうね。ユキネ君にはレイヌールの王都で準備してもらっているし、トライアンフの所はあっちの魔術師たちに任せているけど、魔晶石マジッククリスタルを上手く使えば宝玉の代わりはできそうよ」

「え? 代わり?」

「そうよ。対抗になる勾玉っていうのは代えが利かなそうだけど、こっち側で用意する宝玉の機能は十分にできそうなんだけど……」

「なんだけど?」

「それには魔力がもっと大量に必要なのよ」


 魔力か……。俺やルシルが肉体ごと今の時代に来る事ができたら簡単だったのだろうが。


「流石に数万単位の生命体を冥界に、それも身体ごと持って行くには膨大な魔力がいるのよね」

「ガレイの人数とは比べものにならないか……」

「それにあくまで宝玉の代替品だいたいひんでの転移になるからねぇ」


 少し簡単に考えすぎていただろうか。ここにきて魔力消費量が問題になってくるとは。

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