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一騎当千

「さあ始めようか、お兄ちゃん」


 嬉々としてアリアが戦いを宣言する。


あねさん、いいんですかい?」


 アリアを左肩に乗せているヒルジャイアントのドッシュが聴くも、答えは変わらない。


「うん、もう好きなだけ、コテンパンにやっちゃうよ!」


 アリアが手を振ると動く骸骨(スケルトン)が一斉に俺へ向かってくる。


「なんだよさっきと言っている事が違うじゃないか。一対一で戦うのかと思ったぞベルゼル」

「汗をかかせる事もできないとは申しましたが、戦わないとは一言も」

「相変わらずやり口が汚いな」

「お褒めにあずかり恐悦至極に存じます」


 襲いかかってくるスケルトンを聖剣グラディエイトでなぎ払う。一振りで数十体のスケルトンが骨片に変わる。


「とはいえ、スケルトンだけでもどれだけいるのか……。流石に面倒だな。豪炎の爆撃(グレーターボム)!」


 俺の腕から炎が激しく燃え上がり、近寄るスケルトンに塊として発射される。着弾した炎は周りのスケルトンも巻き込み、骨を灰に変えていく。


「流石は魔族十万を敵にして、それでもなお勝利した勇者ですからね、これしきの戦力では児戯に等しいのでしょうな、いやあ見事見事!」

「なんだ、もう戦意喪失したのか?」

「まさかそれこそお戯れを。人間への復讐に燃える者共はこれしきの事で溜飲を下げることはありますまい」


 ベルゼルが手を振ると、奥から大きな身体を揺らしながら怪物たちが現れる。


「まったくだぜ、ベルゼルの旦那!」

「オーガーか。それにオークも」

「オレらの住処すみかを滅茶苦茶にした人間をすりつぶしに来たんだよ、今更ハイそうですかってやめられるかよっ!」


 オーガーが棍棒を振り回しながら突進してくる。途中にいるスケルトンを弾き飛ばしながら。


「見境がなくなっている奴に俺の首は取れんよ」


 迫り来るオーガーに骨のかけらを投げつける。割れて尖った骨はオーガーの肩に命中し、オーガーの肩が吹き飛んだ。


「うぎゃぁ、痛え!」

「やりやがったな人間!」


 俺は他のオーガーには骨の灰を投げた。


「ぎゃあ、目が! 目が!」


 両手で目を押さえるオーガーたちの足を斬り払う。切断された足では当然立つ事はできない。次々とオーガーたちが倒れていく。


「ひゃぁ、駄目だ、勝てねぇ!」


 後に付いてきたオークどもはオーガーの見事なやられっぷりに戦う気力を失って逃げ去ろうとする。

 中には腰が抜けてその場でへたり込む者までいる始末。


「よくもまあこれで……」


 俺は魔族の軍団に、そしてベルゼルににらみを利かせる。


「俺と対等に戦えると思ったものだな!」


 俺の怒気に触れた者は足をすくませて逃げる事もままならない。

 ベルゼルとアリアはその中でも動じずに戦況を見守る。


「やはりそうなりますよね。判っておりました」


 ベルゼルが外套を脱いで歩いてくる。


「ここは一つ、ワタクシもお相手したくなってきましたよ」

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