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転戦してしらみつぶし

 ガンゾの城、モンジャールから火の手が上がる。


「思ったより早かったな。俺たちが主力と戦っている間に回り込んできた軍が城に押し寄せたか」

「あれだね、反乱軍が戦っていた連中でしょ。反乱軍を倒してから来たはずなのに」

「城壁は突破されたか。もう場内に入ってきているって事だな、あの火と煙の勢いだと」

「そうね。火矢で燃え移ったくらいじゃなさそう。街に入って火をかけているみたい」

「急いで戻ろう。ボンゲ公国軍の奴ら、主力部隊が壊滅した事を知れば撤退するかもしれない」

「うん、戻ろう」


 俺たちは壊滅したボンゲ中央軍の残党は捨て置いて、モンジャールの街へと急ぐ。

 近づくにつれて、物の焼ける臭いが鼻につく。


「ゼロ、肉の焦げる臭いもあるよ」

「街の人たちにも相当な被害が出ているのだろうな。急ごう」

「うん」


 俺たちがモンジャールの街に近づくと、取り囲むようにボンゲの兵士たちが見える。


「なんだこいつら、二人だけで」

「おいお前らなんだ、この戦場になんの用だ!」


 戦闘で殺気立った兵士たちが一斉に俺たちに振り向く。


「城攻めつったって後衛の予備兵力だとつまらないと思っていたんだ」

「いい慰みになるな、ちょっと相手してやろうぜ!」


 俺たちに向かってくる兵士たちは直接城を攻撃するでもない連中だとすると、それだけ兵の数がいるという事か。


「街の中、城にまで押し寄せてきている連中が多いとなると、市街戦になるな」

「面倒だからまとめてぶっ飛ばしちゃえばいいんじゃない?」

「ルシル、それだとガンゾ辺境伯の民にまで被害が出るだろう。それはできない」

「そう? 生き残った連中だけ集めて再興すればいいと思うけど」

「うーん、できれば無駄な被害は少ない方がいいなあ」

「そっか~、わざわざ面倒な事をするのね」

「一応俺も人間の勇者だったからさ」

「あ~、それって魔族差別じゃないの~?」

「いやいや、差別とかそういうのじゃなくてさ、やり方の問題? だよ」

「そうかなあ。ま、いいか」


 俺とルシルが走りながらこれからの作戦を検討する。

 まあ、作戦という程の作戦ではないが。


「おらおらぁ、お前らなにくっちゃべってんだ! こっちは後方待機で腕がなまってるんだ! 遊び相手になってもらうから覚悟しやが……」

「うるさいな」


 わめき散らしていた兵士が突っかかってくるから俺はそいつに向かって剣を一閃する。


「ほら、これでなまる腕がなくなってよかったな」

「ひっ、びゃぁっ!」


 俺が振り抜いた剣は兵士の両腕を切り落としていた。斬られた兵士はもんどり打って地面を這いずり回ると、痛みのショックでかそのまま動かなくなってしまった。


「てめぇ!」

「やりやがったな!!」


 これをきっかけとして一斉に襲いかかってきたボンゲ軍の兵士。


「SSランクスキル発動、旋回横連斬サイドターンスラッシュ! 群がる敵を斬り割け烈風っ!」


 俺自身を回転させて敵軍へと突撃をかける。高速で回転する刃が敵兵をなぎ倒していく。


「ぶぎゃっ!」

「ぎゃぼらっ!」

「こ、こいつ、強ぇ!」


 悲鳴を上げながら倒れていく兵士たち。だが次から次へと他の兵士が押し寄せてくる。


「こりゃあ一人一人倒していかなくちゃならないな」

「じゃあさ、城ごと爆破しちゃう?」


 ルシルは、多分本気だ。目をキラキラさせて提案してきた。


「いや、一応このままで。倒しながら街に突入しよう」

「そっか~。ま、いいけど」


 ルシルも近寄る兵に電撃を食らわせて撃退する。

 俺の剣技とルシルの電撃で、あっという間に死体の山が築かれていくが、それでも敵兵は俺たちに向かってきた。


「相手は二人だ!」

「そろそろ息が上がってくるに違いない! 押せ! 押しまくれっ!」


 敵兵はそれでも迫ってくる。


「これくらいじゃあ疲れたりなんてしないんだがなあ」


 俺はつぶやきながらも、襲い来るボンゲ兵を斬り倒していった。

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