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一方的な虐殺は

 俺とアカシャは円の聖櫃(サークルコフィン)の中にいる。完全物理防御のこの膜は外部からの物理攻撃を全て弾いてくれるが、魔力は透過できてしまう。


「相手にスキルを使える奴がいたら一方的には行けないのだがな。Sランクスキル発動、凍晶柱の撃弾(フリーズバースト)! 氷の弾よ敵兵を撃てっ!」


 俺は円の聖櫃(サークルコフィン)を展開しつつ、内部から魔力で生成した氷の弾を発射させる。


「ぐわっ!」

「なんだ……こ、氷っ!?」

「雪なんか降ってないぞ!? なんで氷なんだ!」


 ボンゲ軍の連中は俺の放った氷に当たって倒れていく。Sランク(シングル)スキルだからな、致命傷とはいかないまでもダメージはかなりのものになる。当たり所が悪ければこれだけでも死んでしまうかもしれないが。


「我らの攻撃はことごとく弾かれて、奴の氷は我らに当たるとは!」

「怪しい術を使いおって!!」


 やはりスキルを発動させる事ができる奴は敵にいないらしい。

 奴らの反応を見ると、そもそもスキルの存在すら把握していないようにも思える。


「やはりな……」

「なんだ?」


 俺のつぶやきにアカシャが反応した。戦闘中だというのに余裕があると思われたのだろうか。まあ、アカシャは俺の後ろに隠れている状態だから、戦いもなにもないのだがな。


「いや、俺が介入すれば戦闘は終わると思っていたが、こうなってはイジメに近いな」

「そ、そうか? 奴らは自分らを倒すために攻めてきたのだぞ、返り討ちにして当然ではないか」


 アカシャは俺の後ろで振るえているものの、言葉だけは威勢がいい。


「まあそうなんだがな……おいっ!」


 俺はボンゲ公国軍の連中に声をかける。


「このまま戦ってもお前たちだけが傷を負うばかりだ! このガンゾの女性士官は諦めて軍を退けっ!」


 氷の弾で兵士たちを打ち倒しつつ停戦を呼びかけていく。俺が攻撃を止めたら奴らは数に物を言わせて前線基地に攻め込むかもしれない。だからあえて俺の方へ意識が向くように攻撃を続けるのだ。


「ええいっ、そんなこけおどしに我らがボンゲ公国の精鋭が怯むとでも思ったかぁ! 貴様の攻撃とて氷のつぶてを投げる程度っ! それしきの痛手で我が軍の優勢は揺るがぬぞっ!!」


 優勢ときたか。

 俺は無傷でボンゲ軍はダメージを負っているというのに。この騎士、判っていないな。


 スキルを理解していれば、魔力が枯渇する事も知っているだろう。だから俺がスキルを発動させ続ければいつかは俺の魔力がなくなり、肉弾戦に移行する事も可能になる。


 俺の魔力はこれくらいでは枯れないが。


「仕方がないな。ではもう少し痛い目に遭ってもらおう。SSランクスキル発動、豪炎の爆撃(グレーターボム)! 爆散しろっ!」


 俺は氷の弾を止め、敵軍のど真ん中に炎の爆発を発生させた。


「ぐわっ!」

「ぎゃぁぁ!!」


 流石にこれでは怪我程度では済まない。焼け焦げ、吹き飛ばされる兵士たちは血と肉をまき散らしてその命を終える。


「くっ、なんという事だっ!」


 騎士の乗っている馬が棹立ちになった。これは騎士が操っているのではなく爆発で驚いたものだからな、制御が難しいだろう。


「や、やりおったな! ええい、怯むなっ! この膜を突き破り、奴を殺せぇっ!!」


 騎士が命令を飛ばし兵士たちが反応する。

 無駄と知っているはずなのに円の聖櫃(サークルコフィン)の膜を攻撃して、弾かれていく。


「なにをしているかっ! とっとと始末してしまえっ!」


 どうにか馬を制御した騎士が馬上から偉そうに指示を行う。

 そうか、こいつがいる限りはこの無駄な突撃は終わらないだろうな。


 俺は次にこの騎士へ狙いを定めて右手を向ける。


「今一度だ、SSランクスキル発動、豪炎の爆撃(グレーターボム)。あの騎士を討ち滅ぼせ」


 静かにスキルを発動させると、馬上にいた騎士の腰から上が爆発四散した。

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