表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

70/1000

巨大な戦力巨大な髑髏

 次々と襲い来る動く骸骨(スケルトン)泥人形ゴーレムを破壊する。その倒し方を実戦で兵士たちに教育していく。


「スケルトンは関節を外せばその部位は機能しなくなる。腰を外せば足は単独では動けず上半身は這うしかなくなるという事だ。ゴーレムは動きも遅く泥が固まっているに過ぎない。削り取るか砕くかすればもろくなるが、打撃は強力だから盾で受け止めるようなやり方はやめた方がいい」


 俺が実際にやってみてそれを兵士たちが真似をする。

 スケルトンは剣と盾を持っているが、それほど力はない。剣の攻撃も軽いものだから余程の事がなければ致命傷を負う事はない。

 ゴーレムは拳が武器だ。体当たりや押し潰しも強力だが動きが遅いため躱す事は難しい事ではない。


「ゼロさん、一通り調べてみましたが町の人の死体は見つかりません。瓦礫の下敷きになっている場合は判らないですが、見たところ被害者はなさそうです」


 殲滅に加え偵察に行ってきた兵士が報告する。


「そうか、恐らく火事も逃げた際にかまどの火が燃え移ったりしたのかもしれないな」

「それならいいのですが……」

「お前はここの町の出身なのか?」

「いえ、でも兄夫婦がこの町で暮らしていまして。無事でいればと……」


 しゃべりながらも俺は魔物を蹴散らす。

 流石に俺に加えて百人近くの兵士だ。スケルトンやゴーレムがそれなりの数いたとしても、徐々に俺たちが優勢になっていく。

 一度俺たちが優位に立てば、補給のない者同士の潰し合いだ。戦力差は広がる一方になる。


「こいつらを駆逐したら町の人を探しに行くといい。町から離れた山小屋や畑のそばの納屋に隠れているかもしれない」

「いいんですか、隊から離れて」

「いいも何もお前たちは自由だ。この町の復興に力を使いたければここに残ればいい。他の者も同様だ。抜けたい時にはいつでも抜ければいい。何も俺に付いてきたからといって、最後まで付いて行かなくてはならない理由はないからな」

「ありがとうございます」

「そうこう言っている内に……って、あれは!」


 俺が見た先、町の中央にスケルトンの破片が山積みになっていた。それが何かの力で次々とつなぎ合わさっていく。


「お、おっきい……」


 ヒマワリだけじゃなく兵士たちが驚くのも無理はない。家よりも大きいゴーレムよりさらに大きいスケルトンが立ち上がったのだ。


「これは……確かガシャ・スケルトン。巨大な髑髏どくろの化け物だ」


 遙か高いところから打ち下ろす拳、家ごとなぎ払う蹴り。兵士たちがその一撃一撃で吹き飛ばされていく。


「散開しろっ! 一カ所に固まるな!」


 俺がガシャ・スケルトンの正面に出る事で攻撃を集中させようとした。

 周りに散ってくれれば俺もやりやすい。


「くぅ」


 ガシャ・スケルトンの一撃が重い。聖剣グラディエイトで受け流すが衝撃はかなりのものだ。


「バカッ、よせ!」


 家の屋根に乗って矢を放っている一団がいた。


「俺たちだって少しは役に立ちますよ!」

「撃てっ!」


 だが矢はガシャ・スケルトンの身体に当たっても弾かれるだけで逆にガシャ・スケルトンの狙いが一団に向けられる。


「よせっ、やめろ!」


 俺の叫びもむなしく、ガシャ・スケルトンの腕が矢を放った一団を家の屋根ごと押し潰した。

 家を潰した事でガシャ・スケルトンの身体が前屈みになっている。


「お前たちの命をかけたこの一瞬、使わせてもらうぞ!」


 俺は必滅の一撃を体制の崩れたガシャ・スケルトンに向けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ