表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

686/1000

精霊力と魔法の杖

 腹ごしらえをして荷物を整理した俺たちは全員で小屋をあとにする。バウホルツ族の村へロイヤを連れて行く事、そして村の長老に地上界への行き方について情報を持っていればそれを聞こうという事が当面の目的だ。


「なあアルキン、村まではどれくらいかかるんだ?」


 俺は歩きながらアルキンに尋ねる。

 犬のような顔をしたコボルト、正しくはドゥエルガルの血を引く一族たちは耳をパタつかせてお互いの顔を見ていた。


「そうですね、我らは調査をしつつ拠点となる場所を探しながらでしたので、まあ三日はかかったでしょうか」

「三日? 途中野営をしながらなのかな」

「えっと、慎重に進めていましたので、道が判っていればもっと早くは着けると思います」

「そうか……まあ、精霊界は真っ暗でいつが朝か夜かも判らないからな、適宜休憩を入れるとしようか」


 俺は腕に抱きついているルシルを見る。


「それでいいよ、ゼロ」

「そっか」


 ルシルはニコニコと上機嫌で俺につかまっていた。

 なぜかロイヤはそんな俺たちを見て、これまた楽しそうに笑っている。

 だが、その目は泣きはらしたかのように赤くなっていた。


「その目はどうしたんだロイヤ。寝不足か?」

「ううん、別に……大丈夫なん」


 少し困ったような顔で、それでも笑いを絶やさないで返事をする。

 まあ、本人が大丈夫だというのだから、それ以上は聞かない事にしよう。


「ねえゼロ、さっきからこの宝玉、明るさが違うんだけど」

「ああ、なんとなく気になっていたが、すごく明るくなる時もあればほとんど消えてしまっているくらいになっている時もあったな」

「どうしてなんだろうね?」

「ふーむ、精霊界のなにかの力が強くなったり弱くなったりしているのかな……」


 俺は先を歩くアルキンに聞いてみた。


「ああそれはですね、精霊力と言いますか、ゼロさんがおっしゃるように精霊界の力の強さに反応しているんですよ。精霊力の強い所では、魔法の威力が倍加されるなんていう話もあります」

「ほう、魔力がねえ」


 俺は腰に差していた剣を少しだけ抜いてみる。鞘から出た部分が精霊界の魔力に反応しているのか、淡い光を放っていた。


「これなら俺のスキルも威力が上がったりするかな?」

「どうだろうね、機会があったら試してみたら?」


 ルシルはいたずらっぽく笑う。

 まあ、その時は俺のスキルもどれだけの威力が発揮されるか、ルシルが言うように試してみたらいいかな。


 俺たちは時々休憩を挟みながらアルキンたちの案内に従って村を目指す。

 何度目かの休憩のあと、少し長めの移動をしていた時だった。


「ねえゼロ、先の方に光が見えない?」


 ルシルが俺の手を引き前方に注意をうながす。


「どれ……」


 ルシルの持つ銀枝の杖に布を被せて光をさえぎる。これで俺の赤外線暗視インフラビジョンが使えるはずだが。


「赤く……いや、白く光が感じられる……」

「ゼロ、それって」

「ああ。かなりの熱がこの先に、かなり上の方までたゆたっている。それだけの熱が上っているのか……」


 この揺らめき。


「火、か」


 前方になにか大きな熱の塊が、炎のように揺れていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ