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村への道は確保してひとまず戻ろう

 ギルタブリルはもう動いていない。四肢をバラバラにされた巨大サソリは、部品としてこの辺りに散らばっているだけだ。これでこの辺りの脅威は排除できたと思うのだが。


「イチフン、村への道は安全になっただろうか」

「えっと、そうですね……。ギルタブリルがどうしてここにいたのかは判りませんが、あれほどの怪物がうろつくという事は滅多にないと思いますので、多分大丈夫だと思います」


 少し自信なさそうだが、始めにアルキンたちとあの小屋までの道中は無事だったというのであれば、その後にあの巨大サソリが出てきたというのだろう。


「これは定期的に巡回しないと、一人旅には危ないだろうな」

「精霊界ではよくある事ですから、それもあって我らは三人一組で活動をしていたりもするのです」

「そうか、逆に分散させてしまったから……悪い事をしたなあ」

「いえ、結果として我が輩もこうして無事におりますので」


 活動範囲というか、行動の幅を広げるためにも街道を造っていく事は今後の課題なのだろうな。


「領土というか、村の規模を大きくはしないのか?」


 俺は疑問に感じた事を尋ねてみた。


「さあ、それは我が輩には判りません。村の長老や姫様がお考えになると思うので」

「そうか……」


 イチフンは一介の兵士なのだろうな。あまりこういったことは意識していないのかもしれないが。


「ロイヤはあんな感じだからな、村に長老とかがいるなら聴いてみるのもいいかもな」

「は、はあ」


 どうもイチフンは気が乗らないというか、興味がなさそうだ。


「ゼロ、ここはゼロの国じゃないからさ、任せるしかないよね?」

「あ、ああ。そうだよな。もっと街道を整備して、たとえば休憩できる場所や灯りを等間隔に配置して、とか考えてしまったが、俺が口を挟む事じゃなかったな」


 俺は照れ隠しに頭をかいてみた。


「いえいえ、ゼロさんのお気持ちは嬉しいです! ぜひそういった国作りの事は長老とお話ししてもらえるとありがたいです!」

「そうか?」


 まあ俺も今は自由の身とは言え、国を治めていた事もあるわけで、こういった所は気になってもいたんだよね。


「ただひとまずはロイヤたちのいる小屋に戻ろう。巨大サソリは退治したからな、その報告に」

「そうね、戻りましょうか……。なにか証拠でも持っていく?」


 ルシルはサソリの尻尾をつまんで持ち上げている。まだ毒液がしたたり落ちている生々しいやつだ。


「いや、いいだろう。別段ロイヤたちも疑う事はしないだろうし。素材として使えるのであればともかく、こんがり焼けていても食料にできそうもないし」

「そうね、電撃を弾かれた時はどうしようかなって思ったけど、爆炎だったら簡単だったわね」

「まあな。ルシルが高ランクのスキルを使ってくれてよかったよ」


 俺はルシルの頭を軽くなでようとすると、ルシルは俺の手を払った。


「あ、ごめん。そんなつもりはなかったんだけど……」


 ルシルは少し距離を置いて、なにかいいわけのような事をつぶやく。


「いやすまん。俺の方こそ」

「いいよ、うん。大丈夫だから」


 急だったからびっくりしたのかな。そんな風に思いながら。


「じゃ、じゃあ前線基地の小屋に戻ろうかな、な?」


 俺は二人に声をかけて、元の道へと戻ろうとした。

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