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外殻と毒針

 ランタンの揺れる灯りの中、うっすらと見えてきたのは人間ほどの大きさもある巨大なサソリ。

 その尾は二股に分かれていて、いかにも毒を持っているかのような怪しげなぬめりを持っていた。


「しかも顔は人間っぽいのか……」


 人間の中でも整ったと言っていいような女性の顔。

 だが、人形のように無表情でこちらを向いている。

 長く赤い髪の合間から光る物が見えた。


「人間の顔に付いている目と、額に……六つの目。こいつがギルタブリルか」


 そう言った俺の事を巨大サソリ、ギルタブリルがじろりと見たような気がする。


「先手必勝! くらえっ!!」


 俺は地面を滑るように駆け出し剣を振り下ろす。

 金属のぶつかるような固い音が辺りに響く。


「くぅっ!」


 俺の剣はギルタブリルの固い甲羅に阻まれて弾かれてしまう。

 どうにか手放さずにいられたが、それでも反動が大きく身体のバランスが崩れてしまった。


「ゼロっ! Nランクスキル、雷の矢(ライトニングアロー)っ!!」


 ルシルの放つ電撃がギルタブリルに向かう。ギルタブリルは本能なのか意図しての事なのか、大きなハサミを振りかざして電撃をはねのける。


「なっ、なによあのサソリ!」

「ルシルさん、危ないっ!」


 戦闘には加われないイチフンが遠くから叫ぶ。

 ルシルに向かって全速力で突進してきたギルタブリルがそのハサミを振り下ろす。


「くっ! Rランクスキル発動、超加速走駆ランブーストっ! 間に合えっ!!」


 俺はとっさにスキルを発動させる。俺は勢いよくルシルを抱え、横っ飛びに転がる。

 その直後、ルシルのいた所に巨大なハサミが突き刺さったが、間一髪直撃は避けられた。


「ゼロ、足っ!」

「お、ああ。痛いな……」


 ハサミがかすめたのだろう。俺の膝から太ももにかけて長い切り傷から血が噴き出す。


「待って今……SSSランクスキル、蘇生マキシム……」


 俺は手でルシルの口をふさいでスキルの発動を止める。


「いやそれはまだいい。無駄撃ちをする事はない。Nランクスキル発動、簡易治癒ライトヒーリング。傷口をふさぐだけでいい、傷を癒やすまでもない」

「ゼロ……」


 足の傷がふさがる。ズキズキと痛みはあるが、立てないほどではない。


「次、来るぞっ!」


 ギルタブリルは両手のハサミを交互に振り回して俺たちを切り刻もうとしている。

 どうにか避けつつルシルが電撃を放ち、俺も剣で受け流す。


「上っ!!」


 ルシルの声を聞いて上を見ると、サソリの尻尾がこちらを向いていた。

 そこから放出された液体が飛んでくる。


「なんかこれは危ないな……Rランクスキル発動、魔法障壁マジックシールド! 魔力持つ攻撃を防いでみせろっ!」


 俺たちの全面に薄い光の膜が現れ、液体を防ぐ。

 弾かれた液体は地面に落ち、落ちた場所を赤黒く染めていった。


「予想は当たったかな。あの液体には魔力が込められている。だから魔法障壁マジックシールドで防御できたわけだが」

「で、でもゼロ、さっきから……」

「ああ。どうやらだんだん判ってきたぞ」


 俺は間合いを取りながらギルタブリルに対峙する。

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