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アフタヌーンティー

 アルキンたちバウホルツ族の話を聞くと、前線基地としてこの小屋を建て、散り散りになった一族を探していたとか。


「偶然としては出来すぎのようにも思えるが、それでもロイヤの仲間と合流できたのはよかったな」

「うん! よかったなん!!」


 今まで一族最後の一人だと思っていたロイヤだっただけに、一族のものとの再会はとても驚きで嬉しい事だったろう。


「姫様、ゼロさんルシルさん、我らはこの近辺で一族の者を探す任を受けて到着したばかりでしたが、早速イチフンを村に使いとして出しましたので、迎えの者たちが数日の内には到着する見込みです。それまで疲れを癒やしていただきます」


 アルキンは食後の飲み物を配り終え、自分の椅子に座って状況を説明する。


「それはありがたいが、俺たちにもできる事があったら手伝いたい。遠慮なく言って欲しい」

「姫様をお守りするためにも、ゼロさんとルシルさんには姫様といていただけると助かります。我が輩はこの通り片目が見えませんので、探索よりは我が輩もここで姫様の護衛をさせていただきます。メンデスはこの辺りの警護と一族の者を探す役を請け負いますので」


 なるほど、三人で一つの集団としていた意図としては、調査する者、拠点を預かる者、連絡をする者と言う事で役割が設けられていると言う所か。


「それであれば先触れのイチフンさんと一緒に俺たちも村へ連れて行ってくれてもよかったんだが」

「いえそれでは強行軍になってしまいますので、そうならないためにも先に連絡をと思いましてね」

「その配慮はありがたいが、そうか……」


 これはロイヤの疲労を思っての事なのか、それともロイヤを連れてきたとはいえ一族の者ではない俺たちを警戒しての事なのか。

 かと言って、先触れとロイヤの二人だけでは確かに心配もあるだろう。


「どうしたのゼロ?」

「ん……いや、流石に一族の長だけあって、ロイヤは大切にされているんだなと思ってね」


 そこへ慌てた様子で男たちが入ってきた。


「メンデス! どうした、イチフンも……イチフン、その傷はっ!」


 アルキンが目を見開く。それもそうだろう、飛び込んで来たのは傷だらけになったイチフンと、それを抱えるようにして連れてきたメンデスだったからだ。

 ルシルが駆け寄って手をかざす。


「その傷、ちょっと待ってすぐに治癒を!」


 ルシルの手が柔らかな光に包まれ、イチフンの傷がふさがっていく。それにつれてイチフンの呼吸も落ち着いたものになっていく。


「助かりますルシルさん! それにしてもいったい……」


 アルキンがイチフンを連れて部屋の脇にあるソファーに寝かせる。ロイヤは濡れた手ぬぐいを持ってきてイチフンの傷を拭く。


「姫様それは我が輩が代わります」


 アルキンはロイヤから手ぬぐいを受け取りイチフンの治療を手伝う。


「それでメンデス、説明を」

「あ、ああ。あれは我が輩がこの辺りを探索しながら拠点への道しるべを設置している時だった。誰かこの小屋に近づく者がいたと思って投光器で照らしてみたんだ。そうしたら出て行ったイチフンがこの有様で……」


 メンデスは汗を拭きながらその時の状況を話し始めた。

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