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オーク臭のする洞窟

 低空で飛行する。速度はそれほど出ていないはずだが、地面が高速で流れていく感覚がして奇妙だな。


「それで、オークの痕跡はありそうかな」


 俺たち全員で目をこらしながら地上を確認する。


「ふむ、それらしい物は見当たらんのう」


 ほとんど滑空状態でウィブはゆっくりと進む。木々が少ないから視野も確保できて地面の状況もよく判る。

 それだけに、痕跡がない事もよく判った。


「ちょっとまってなん、あっち……」


 ロイヤが俺たちに方向を指示する。風上の方だ。


「どうしたロイヤ、なにか見つけたか」

「臭いがするなん。奴ら、オークの臭い……」

「風上から臭いがするって事か」


 ロイヤはうなずく。


「一匹二匹じゃない……かなり多い数が集まっている臭いなん。固まっている臭いなん」

「そうか。お、皆ちょっとあれを見ろ」


 うっすらとだがロイヤの示した方向に足跡が見えた。それもかなり広い範囲で踏み固められた草だ。


「この様子からだとそれほど日数は経っていない。丁度俺たちの所へやってきた頃から逆算すると、この草は丁度な感じの折れ具合だな」

「ゼロ、よく見るとまだ地面が固い所もあるよ。大勢のオークが通ったような」

「よーし、そうなると俺たちの拠点がこの先とすると、奴らのねぐらは逆、あっちの方向だな」


 俺はウィブに方向を伝えると、この集団が来たであろう場所を目指して進んでいく。


「ねえ見てゼロ、少し盛り上がった丘みたいな所が」

「オークの臭い、どんどん強くなっていくなん」


 ルシルとロイヤが言うように、きっとあの丘がオークのねぐらなんだろう。


「ウィブ、あの丘の近くに降りてくれ」

「承知した」


 丘を中心にして旋回しながら着地する。


「お、なんか地下に続く洞穴があるな。この丘は地下への入り口だったのか」

「探していた所の近くにあってよかったね」

「まあここが奴らの本拠地かどうかも判らないし、ヴァンパイアがいるかはもっと判らないけどな」

「行くだけ行ってみましょうか。少しでも手がかりになれば」

「そうだな、行ってみるか」


 オークの集団が出入りしている所だろうが、流石にここも狭い地下洞窟だ。


「ウィブ、済まんがまた洞窟の外で待機してもらいたい。ルシルが思念伝達テレパスで呼ぶまでどこか安全な所で狩りでもして待っていてくれるか?」

「仕方がないのう、儂には入れないからのう」


 ウィブは大きく羽ばたいて辺りの砂塵を巻き上げる。


「無事に帰ってくるよう祈っているからのう、王よ」

「ああ、行ってくる。お前も気をつけてな」

「承知」


 ウィブは更に羽ばたきを速めると、空に跳び上がった。


「さてと、この洞窟の中のオークどもは俺たちを襲った連中かどうか、確認してみようか」

「そうね」


 俺たち三人は洞窟の中には行っていく。閃光の浮遊球(フローティングライト)で作った明かりで辺りを照らされた洞窟は、入ってすぐに地下へ続く急勾配の坂になっていた。

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