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伝説の秘宝

 ロイヤはルシルを適当な岩に座らせる。倒れないように背中を支えてくれていた。


「ロイヤ、なにか知っているのなら教えて欲しい」

「判ったなん」


 ロイヤの知っている事、それはいったい……。


「バウホルツ族、ロイヤの一族の中で族長にしか伝えられない話なん」

「ほう」

「ロイヤたちコボルトは、リザクールとかに使われていたなん。何代も、何代もずっとなん」

「確か銀を他の金属に変える事ができるから、と言っていたか」

「そうなん。ロイヤたちは銀をコバルトに変える事ができるなん。銀はヴァンパイアたちに傷を付けられる力を持った特別な金属なん」


 それは聞いた事があるし、実際にルシルがリザクールに銀のナイフで触れた時に見ていた。


「ロイヤたちバウホルツ族では、ヴァンパイアに使われている内に、他の事もいろいろと知っていったのなん。でも知っているという事を知られてしまうと命の危険につながるのなん。だからずっと黙っていたのなん」

「そのいろいろというのが、戦いに役立つ話なのか?」

「うん。昔から伝えられていた秘宝を集めれば、ヴァンパイアも倒せるようになるなん」


 銀のように奴のら弱点となる道具か。


「そ、その前に……」


 ルシルが苦しそうに話し出す。


「大丈夫かルシル」

「私は平気。でも……」

「でも?」

「なにか着て、ゼロ……」

「あ」


 俺はさっきの戦いで全裸になっていたのだった。正しくは着ていた物が全て焼き払われてしまったのだが。


「あ、ああ、すまん」


 ルシルは俺の裸なんて見慣れていると思っていたんだが、そうでもなかったのかな。


「違うよゼロ、周りに……」


 そう言う事か。ルシルが困ると言うよりは、周りの連中……うーん、ロイヤはコボルト、チュージもゴブリンだ。ウィブに至ってはワイバーンだったりするし、人間の男の裸にどれだけ価値があるのかとか、そもそも恥ずかしがる気持ちがあるのかだけど。


「まあ気にする奴らじゃないからな」

「違うの! 私が見せたくないの!」


 あ、ああ~。なるほど。

 俺の裸を自分以外の奴に見られたくない、と言う事か。ようやく理解できた。


「わ、判った、ちょっと待ってくれ」


 俺は急いでそこら辺に落ちている布を使って腰巻きにする。これで少しはマシだろう。


「それなん」

「え、ロイヤ、なんだって?」

「ゼロちゃんが炎に強いのは判ったなん。でも服や鎧はそうじゃないなん」

「ま、まあそうだな。だがあれだけの高熱だ、こればかりは仕方がないだろう。炎の呪いといい、ヴァンパイアどもは炎の扱いに長けているらしい」

「でもそうじゃないなん」


 どういう事だ? ロイヤは必死に説明しようとしている。


「これはバウホルツ族の掟を破る事になるなん、でも……」


 そうか、族長以外に伝える事自体が初めてだという事だな。


「ヴァンパイアの炎に対抗する鎧を造る事ができるなん」

「炎に対抗?」


 ロイヤがうなずく。


「それが火蜥蜴の革鎧なん」

「火蜥蜴……サラマンダーか?」

「そうなん。火蜥蜴の革鎧は炎で焼け落ちたりしないなん」


 そんな鎧は聴いた事がなかった。本当に門外不出だったようだな。


「燃えない鎧……。それは便利だな」

「うん。その他にもヴァンパイアに効果のある珍しい宝があるって聞いているなん」

「効果的な珍宝か」

「う、うん。珍しい宝なん」

「それを教えてくれ、頼むロイヤ! 俺に珍宝を教えてくれ!」


 今みたいな戦いはしたくない。俺はどうにかロイヤから聞き出したいんだ。戦いを有利にするため、そして皆を守るため。

 そのためなら珍宝でもなんでも見つけ出してやるからな!

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