呪いの解き方解かせ方
俺たちの攻撃はリザクールに効かない。いや、効いているのだろうがその効きが悪い。
「これも呪いのせいか……」
俺たちの焦りに反してリザクールは高笑いを続ける。
「ハハハッ! お前たちの力はそんなものか! 我に致命傷を負わせるなど到底できぬ事よなあ!」
リザクールの攻撃はじわじわと俺やルシルに傷を付けていく。
だが俺たちの攻撃は簡単に弾かれるか、直撃しても大した事にはならない。
「ルシル、これは正直まずいぞ。手数ではもちろん俺たちの方が多い。だがここまで効かないとは」
「呪いの影響、ありすぎだよっ!」
嘆いてもぼやいても状況は一向に好転しない。それどころか攻撃を掛けている俺たちの方がリザクールに押される一方だ。
「そらそら、威勢の良さは口だけかぁ!?」
リザクールの嘲笑が俺たちに突き刺さる。
「くそっ、普段通りの力が出せればっ……。だが、剣撃のスキルも効かなければ炎や爆発も効果が薄い」
「ゼロ、それでも削っていけばいつかは……」
「ああ、だから攻め続けるしかない、ないんだが……」
俺の放つ爆炎も弾かれ、ルシルの電撃も効かない。
「ハーッハッハッハ! さあお前たちの命も徐々に削れていくぞ! どうだ、それそれそれっ!」
リザクールは変幻自在に空中を飛び回り、俺たちに向かって滑空しては鋭い爪で俺たちを引き裂き、また宙へと戻っていく。
「もう一撃、食らいなさいっ!」
リザクールが勢いに任せて更に攻め立てる。
「ちぃっ、Rランクスキル発動、岩の板壁っ、これで少しは耐えられるかっ!」
俺が巨大な岩の壁を出現させると、勢いづいたリザクールがそこに飛び込んで来た。
「ぶぎゃっ!」
「え?」
リザクールはまともに岩の壁へぶち当たって地面へ落ちる。
「いっ、たたた……」
不意の事で鼻っ柱を押さえるリザクール。
「これは、もしや……」
もしかしてこいつ、俺の作った岩の壁は突き破れないのか?
俺は物は試しに岩の壁をリザクールの周りに出現させた。
「Rランクスキル発動、岩の板壁! 岩の板壁! 岩の板壁っ!!」
リザクールを囲うように岩の壁を作り出す。もちろん天井も付けて、だ。
「なっ、なんだこの壁はっ! くっ、暗い、狭いっ! うがががが!」
急にリザクールが苦しみだした。封じ込めに成功した俺はリザクールの様子を黙って見守る。
「なあルシル、こいつ俺たちの攻撃には耐性があったみたいだが、炎とか剣撃とかじゃなくて作りだしたとはいっても岩とかは壊せないんじゃ……」
「え、それってもしかして」
「ああ、物理で殴れば呪いは関係ないんじゃないか?」
俺の言葉を聞いて岩の壁に囲まれているリザクールが静かになった。
「あ、もしかして図星?」
壁の中からは返事がない。
「あー、そうかそうか。何かの物語で聞いた事があったかなあ。確か吸血鬼って木の杭で心臓を貫かれたら死ぬとかあったよなあ」
俺はあおるようにリザクールの耳に入るよう大声で言ってみた。
「ねえゼロ」
「なんだ?」
「私たちだって心臓を杭で貫かれたら死んじゃうと思うんだけど」
まあそりゃあそうだ。