呪いの分散工作
チュージがいきなり胸をはだけさせ、何を言うのかと思ったら、おっぱいをわしづかみにしろだと!?
一体こいつは何を言っているのだ! これはあれか、ゴブリンジョークとでも言うのだろうか!?
「ちょ、ちょっといきなり何を言うのよ! それ、胸を隠しなさいよ!」
ルシルがチュージのはだけた胸を上着で隠す。いいぞルシル! 俺は別に狼狽なんてしていないが、でもこの状況はいわゆる所の、なんだ、ほれ、あれだよ。
「ゼロ様、ルシル様、これは呪いを薄めるのに使う秘術なのですぜ! 本当なら心の臓に手を当てて呪いを分散させる方法が一番なのですが、それは流石にできねえので、こうして心の臓に近い所に手を当ててもらえりゃあ、呪いも伝わるって事なんですぜ」
チュージの説明を受けて、俺もルシルも半信半疑なりに理解しようとしている。
「呪いを……」
「分散させる?」
俺たちの言葉にチュージはうなずいてみせた。
「その通りですぜ。おいらにしてみればここは命を懸けた解呪の戦い。おいらだけじゃあ心配だって言うのなら、ゼロ様にもルシル様にも等しく呪いを請け負ってもらうってのがいいと思ったんでさ」
「そんな事ができるのか?」
「それはもちろん。解呪できればそれが一番いいのは間違いないですがね、でも仮に失敗したとしても呪いが強まったり広がったりする事を防ぐのに、みんなで分け合おうってのがゴブリンの中では当たり前の事なんでさ」
ゴブリンなりの文化というか、そういうしきたりみたいなものがあるのだろう。
「な、なるほどな。それであれば、心の臓に近い所に手を当てるのは、ま、まああながちおかしい事ではない、と」
「そうですぜゼロ様。おいらにとっては別段おかしい事じゃ……」
そこまで口にしたチュージにルシルはものすごい勢いで割り込んできた。
「だったら他のゴブリンにもあんたの胸を触らせたりするの!?」
うーん、怒っている。ルシルは怒っているぞ。
「いんや、これをやるのは今回が初めてですだ」
「はっ、初めて!?」
だいたい解呪なんていうのがそうそう行われてもおかしいだろう。
だが、今回が初めてだとすると……。
「おいらのおっぱいはゼロ様が初めてわしづかみするのですぜ」
「おふーっ!!」
ルシルは変なうめき声を上げてのけぞった。
「だったら私がチュージの胸をつかむ! だからゼロは私の胸をつかみなさい!」
「えっ、いきなり何を言っているんだ!?」
ルシルは興奮して人の言葉を聞こうともしない。荒れる息づかいでチュージの胸をわしづかみにした。
「あひゅんっ」
「ちょっとチュージ、変な声を出さないでよ!」
「ご、ごめんですだ……でもルシル様、あふっ、もっと……優しく……ひゃんっ!」
ルシルがチュージの胸をわしづかみにして、チュージはその感触に身体をくねらせる。その動きが更に胸への圧力を増す結果になっているが。
「で、でも……これで呪いは薄められるですだ……あふぅんっ!」
「ちょっとゼロ、あんたもただ見ているだけじゃなくて」
えっ、やっぱり俺も……?
「私の胸をつかみなさいよっ!」
えーっ、やっぱりそう来るのね!?
俺は言われるがままルシルの胸に手を伸ばす。指先がルシルの胸の先端に少し触れる。
「んんっ……」
何かを我慢しているルシル。
そうだよな、そうだよなあ。ちょっとは柔らかいとか考えてしまった俺の馬鹿!
「そ、そんなそろそろとやらないで、ガバッと来てよ!」
が、がばっと、だとっ……!?
俺は覚悟を決めてルシルの大きく膨らんでいる丘に手を添える。手のひらからルシルの鼓動が伝わってきた。思ったよりも速い動きだ。
「さあチュージ、私もゼロも用意ができたわよ! さあ、解呪を初めて頂戴っ!」
顔を赤らめながらルシルが注文を付ける。チュージは大きくうなずくと、ゴブリン語でなにやら唱え始めたのだった。
この際、ルシルのおっぱいが柔らかいと思った事は言わないでおこう。