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固めてポン

 フローラは既に超巨大な身体で母親のそばへ横たわっている。


「いくぞゼロ王!」

「よし!」


 王者の契約者キングスコントラクターも強力になっている。これはフローラの成長で効果が倍増したものだろう。枯渇しそうになっていた魔力も少しだが回復している。

 そして真摯な態度でフローラが炎海竜サラペントに寄り添う。


「母上、お母様。今よりあなたの娘がお力添えいたします。今しばらくのご辛抱を」


 炎海竜サラペントが反応しているのか、のたうつ動きが少し抑えられたようにも思える。


「いくぞ!」


 フローラは炎海竜サラペントの上に覆い被さるようにして四肢のを伸ばし、母親の身体を抱えるようにして海底をつかむ。


「海底が……フローラの手足が地面に潜り込んでいく!」


 こうやって地面を押さえ、支えていたのか。


「見てゼロ! 二人の力が合わさって……海底が!」


 大きく咆哮する海のドラゴンが二人。その気合いと共に少しずつ海底渓谷の幅が狭くなってきている。これが二人分の力という事か。一人だけでもこの海溝を押さえきるだけの力があるんだ。


「やるな、これは俺も負けていられんぞ!」

「もうすぐ左右の海底がつながる……」

「つながった所から縫い付ける! 溶かしてくっつける! Sランクスキル発動、風炎陣の舞(フレイムストーム)。この炎の嵐を細く、細く……そしてつなぎ目の所に集中だ……」


 俺の指から細く吹き出した炎が海底を熱していく。徐々に赤く光を放ち始めた地面が溶け出した。これなら行けるか!?


「海底火山もそうだけど、凄い熱だよ……」

「俺は温度変化無効の常時発動スキルがあるから大丈夫だが、ルシルは氷か冷却のスキルを使ってくれ」

「うん、そうしておく。ゼロも熱は感じないかもしれないけど冷ましておいた方がいいかな?」

「大丈夫だ、熱湯程度なら俺の装備は耐熱の付与魔法エンチャントが掛けてある。熱で焼け落ちたりはしないさ」

「判った。魔力が足りなくなりそうだから今から手助けになればいいんだけど」


 ルシルが俺の背中にピッタリと貼り付く。柔らかい感覚が背中に押しつけられる。


「バイラマとの戦いでやってくれたやつか」

「うん。魔力伝注掌マジカルインジェクション。今から私の魔力をゼロに送るね」


 ルシルは後ろから抱きしめるような形で手を回し、両の手のひらを俺の胸に当てた。両手を使っているという事は竜神の逆鱗は咥えている状態で、それだと口を開く事ができないから会話もできなくなるが。


思念伝達テレパスを使うね』

『助かる。それだったら俺も両手を使っても会話ができる』

『そうだね、じゃあ送るよ。SSSランクスキル、魔力伝注掌マジカルインジェクション……』


 ルシルの魔力がゆっくりと俺の身体に染み込んできた。実際の温度は感じないが、温かな気持ちというのだろうか。この極限状態にあって安らげるような気持ちになれる。

 ああ、ルシルの気持ちが俺に伝わってくるような感じ。気持ちが落ち着くと頭も冷静になれる。

 安心できるし、信頼が伝わる。


『ありがとうルシル』

『うん。ゼロ……私もだよ』

『あ、そうか。思念伝達テレパスで俺の思考が筒抜けになっていたか』

『ごめんねゼロ』


 あー。そうだった。きちんとした思考は思念伝達テレパスで伝わってしまうんだったな。


『でもいいさ。別に変な事は考えていないし、お前といて安心できるっていうのは俺の本心だからな』

『ゼロ……』


 ルシルからの魔力が来た事で更に海底の溶接がはかどるというものだ。フローラと炎海竜サラペントが押さえてくれている。ルシルも手伝ってくれる。

 俺も全力で溶かして固めていくからな! もう少しだ!

【後書きコーナー】

 ここまでお読みいただき嬉しいです。応援ありがとうございます。


 今日は記録的な所のお話。

 多少都合もありますが、今回をもって通算80万文字達成でございます。

 書く方も書く方ですが、ここまでお読みいただいて、冒険の旅をともに歩んでいただき本当に本当にありがとうございます。


 今後の事は判りませんが、ここで執筆活動を始めて本作が私の代表作となりました。今までで一番反応をいただけた作品となっています。

 これもひとえに読んでもらっているからこそ。

 この場を借りて、お礼申し上げます。


 もう少しまだ少し続くので、今しばらくお付き合いの程、よろしくお願いいたします。

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