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解放と共闘

 小さいドラゴンが小ビンの中で暴れ回っている。こいつの言葉、そしてこいつがやろうとしている事。これは信じてもいいのだろうか。


「ねえゼロ、ビンから出すの?」

「ルシル……う~ん、そうだな。おい子供蛇」

「なんだようっせえな!」


 小さいのに威勢がいいというか、やかましいな。


「いいか、俺はこれからお前の事を子供としては扱わん。交渉相手として話をするが、聴くつもりはあるか?」


 俺が居住まいを正して話しかけると、流石にその真剣さが伝わったのかも知れないな。小ビンの中で暴れなくなった。これなら少しは大人しくなって話ができそうだが。


「お、おう。そういう事なら俺にも不足はねえ」

「判った。お前を大人子供関係なく扱う。まずはこの小ビンから出すが、逃亡したり抵抗するようであれば俺たちはこの炎海竜サラペントの腹を突き破っても出て行ってこいつを亡き者にする。世界の崩壊とかを語る以前に目の前の厄災を止めるからな、いいな」

「わ、判った……」


 相手の意思を確認して俺は小ビンに蓋をしていた布を外す。さあどう出るか。


「はっはー! 俺を自由にしたのがお前の運の尽きだよぉ!」


 小ビンから飛び出してきた小さい海蛇のようなドラゴンが俺の顔めがけて飛びかかってきた。


「ゼロさん!」


 俺がセイレンの声を無視して手を顔の前に出す。


「落ち着けセイレン。ルシルはもう判っているようだな」

「そうね、思念伝達テレパスを使うまでもないわ」


 俺が指しだした手の上にドラゴンがちょこんと乗る。


「何だお前、俺に食われるって思わなかったのかよ」


 俺の手に乗っているドラゴンがキーキー声で悪態をついていた。


「そうだな、俺はお前の事を信用する。だから小ビンから出した。一度俺が下した判断だ、それを変えるつもりはなかったのでな」

「それで信用しようと思ったのか?」

「そういう事だ」


 俺としては敵感知センスエネミーが発動していなかったのもあったし、仮に攻撃されたとしてもどうとでも対処できる。打算的だけどこいつが俺の脅威になる可能性が低いと思ったし、そもそも信じてみたいと思ったのも確かだからな。


「へっ。おかしい人間だぜ」


 ドラゴンは俺の手のひらでとぐろを巻いて舌を出していた。


「なあ子供ドラゴンよ、お前の事をどう呼んでいいのか判らなかったが名前はあるのか? なんて呼んだらいい」

「俺はフローラ。誇り高き炎海竜サラペントの娘だ」

「娘ぇ!?」


 つい大きな声を出してしまったせいで、周りを驚かせたようだな。済まん。


「フ、フローラ、お前女の子だったのか!?」

炎海竜サラペントは女竜だ。男は炎海竜サラペントに成れん。そんなもん海に住む者の常識だろう?」

「セイレンは知っていたのか? ……知らない? ほら、海に住むっていってもそんな事知らないってよ!」

「そうかあ? 海竜たちの中では当然の話なんだけどなあ。まあいいや、それよりもおりの塊を探しに行くぞ!」

「まったく勝手というか何というか」


 どうやらこのフローラという小さな海竜に振り回されそうな予感しかしなかった。

【後書きコーナー】

 いつも応援ありがとうございます! 書籍化になるといいなって思いながらも今ひとつ手が届かない今の状況をよじ登っています。まだまだ遠い道のりです。


 さて、今回名前が明かされたフローラですが、昨今ちまたを騒がせている、と言っては何ですが少し有名になってきた腸内フローラ。はい、それです。身体の中で戦う善玉菌みたいな感じ?

 この小さなドラゴンがこれからゼロたちとどう行動していくのか、乞うご期待です!


 それではまた。

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