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大地のくさび

 世界が終わる? 俺が炎海竜サラペントを殺すと、という事らしいが。この炎海竜サラペントの子供が言うには。自称だがな。


「なぜそうなるんだ? このまま生かしておいてもこの周りの海底王国は滅亡の危機に瀕しているんだぞ」

「だ、だがなあ、そうは言っても母ちゃんを」

「お前の母親だと言うのであれば殺されないようにと俺たちを説得する事も理解できるが、だからといってマーメイドたちが死んでもいいとは言えないからな」

「判ってるよ……。でも母ちゃんは、炎海竜サラペントはドラゴンだ。俺の身体を見れば判ると思うけどよ」


 小ビンの横から覗いてみる。どれどれ、この小さな蛇……。


「あゼロ、これ手足。ちっちゃいけど手足があるよ」

「おうよ、この嬢ちゃんが言うように、俺にも立派な手足があるんだよ」


 立派と言うには少々大袈裟というか、身体自体が俺の人差し指くらいしかない訳で、底からちょろっと出ている突起物が手足とは。目を皿のようにして見ないと判らない程度だった。


「身体のイボかと思ったぞ」

「ひっでぇな! でもこれで俺がドラゴンだって事は判ったろう!?」

「まあそういうことにしよう。それで?」

「母ちゃんは竜神としてこの海底を支えているんだ」

「支えているだって? おいセイレン」


 後ろで聞いていたセイレンが俺の顔を見てくる。


炎海竜サラペントってそんな奴なのか? 海底を支えているとか死ぬと世界が滅ぶとか」

「うーん、えっと、いろんなおとぎ話の中にはそういうのもあるとは思うんだけど、あたしは聞いた事ないなあ」


 セイレンはいろいろ思い出そうとしているようだが、やはり記憶になさそうだ。


「マーメイドもそう言っているが、どうなんだ小さい蛇よ」

「なんだそいつマーメイドなのか!? だって人間の足があるじゃないか!」


 相変わらずキーキー甲高い声が耳障りだが、ここはじっと我慢するか。


「じゃあさ、ここ最近母ちゃんの調子が悪くなって、よくくしゃみをするんだよ」

「くしゃみ? 海竜がか?」

「ああ。母ちゃんのくしゃみはすげぇんだ。一発かますと海底から竜巻ができて辺りの魚を巻き上げちまうんだぜ!」

「魚……」


 もしかして、近頃空から魚が降ってくるってのは炎海竜サラペントがくしゃみをした結果なのか!? しかもセイレンや乙凪おとなが飛ばされたのもそのくしゃみだって!?


「だとしたら恐ろしいな……。かえって生かしておくには行かないんじゃないか」

「だから駄目なんだって! 母ちゃんは身動きすれば海底火山が噴火して、くしゃみで竜巻が起きるくらいなんだぞ! その母ちゃんがずっと海底で手足を踏ん張って地面を支えているんだ! 母ちゃんが地面をつかんでいないとこの大地がバラバラに砕けちまうんだよ!」


 え、そんな事ってあるのか?

 この地面がバラバラになりそうになっていて、それをつかんでいるのが炎海竜サラペントだと!?


「だったらなぜ身体を動かして火山を噴火させたりするんだ?」

「それは……実は母ちゃん……あのな」

「おう」

「数百年溜まった海底のおりが体内で固まってそれが詰まっちまってんだよ!」

【後書きコーナー】

 お読みくださりありがとうございます。ご感想、レビューありがとうございます。いただけると励みになります。

 ここ数回、命名についていくつか記載していきましたけどいかがですか?

 こういうコーナーがあってもいいかな、とか思ったりもしながら書いています。ご意見、ご要望などありましたらご感想欄でもメッセージでも結構ですので、お知らせいただけると嬉しいです。

 できるだけお応えしていければと思っています。


 今回のモチーフとしてベースに持ってきたのは、ご存知浦島太郎。ですが、セイレーンは出てくるし海竜なんかも出てきちゃっていますし、体内に入るなんて一寸法師みたい、なんていうのもありますね。

 大筋の話はできているのですが、さてこれからどう畳んでいこうかという所。

 もしかしたら今読まれているあなたのご意見が、エンディングに影響するかもしないかも?


 ではまた、お楽しみいただけると嬉しいです。

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