内部破壊で大暴れ
敵の数には思ったより苦労する。斬っても斬ってもきりがない。
「ゼロ、私の電撃あんまり効かないのよね。水の中だからかな」
「う~ん、そうかもなあ」
確かにルシルが言うように、接触や至近距離なら相手を倒せるくらいの威力が出せるものの、少し距離が開くと相手に届く前に水中に散ってしまう。それは俺の炎系スキルも同じだ。
「炎系はこういう所であまり使って欲しくないのよね」
「なんでだ?」
「だって、茹だっちゃうじゃない」
「あー。俺は温度変化無効だから気にしていなかったけど、やっぱり熱くなってた?」
「ちょっとね。もわっと温かいのが流れてくる時あるよ」
「そっかー」
そんな他愛のない会話にセイレンも混ざってくる。
「ルシルさんの電撃も、結構あたしの所に来たりするよ」
「え、そうなの?」
「はい、ちょっとピリッと来るくらいだけど」
「あー、それはごめん。威力を上げるとそうなっちゃうんだね~。はぁ、水の中って今までの戦い方ができないから大変だよ~」
軽口を叩きながらも仕事はきっちりとこなしているのが俺たちな訳で。
襲いかかってくる白い連中は次々と粉々になっていく。俺は剣で細断し、ルシルは氷の槍で貫いた敵を凍結させて動きを封じる。セイレンは珊瑚の杖から噴き出す水流を細く絞って敵を切り刻みながら吹き飛ばしていく。
「それでもきりがないよ~。数多すぎ!」
「あれだけの巨体だからな、体内に何がどれだけいても驚かないと思っていたけど……あ、そうだ」
「どうしたの?」
「壁とか地面とか、炎海竜の体内って事はさ、そこを攻撃したらいいんじゃないかなって。見た感じ岩でできた洞窟みたいだったから忘れていたけど、口の中に飛び込んだのって中から攻撃するためだったりもするからな」
「そ、そうだね!」
ルシルも忘れていたっぽいなこれ。
「でもさ、こんなに大きいし岩みたいでしょ。中から攻撃したくらいでどうにかなったりするのかなあ」
「まだ外にいた時さ、炎海竜に剣を突き立てたら暴れて出てきただろ?」
「うん」
「という事は、だ」
白い連中の隙を突いて剣で地面を斬りつけてみようか。
するとどうだ、少し斬っただけで洞窟が大きく揺れ動くじゃないか。
「ほらな、こいつは思った以上に痛みに敏感なんだ。だから外皮を少し傷つけられただけでも海底火山を噴火させるくらいに暴れる。それが体内からの攻撃だったら……」
「こ、こんなに、揺れちゃうんだね!」
「そういう事だ! 忘れていたけどな!」
こうなったら、揺れる足場でこらえながらだけど思いっきり剣を振り下ろせばいい。
「SSSランクスキル発動、重爆斬だ! さあ食らいな、俺の最強剣技、お前の身体も温泉を掘る時みたいに深くほじくってやるぜ!」