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長大なひび割れ

 日の光が入ってくるとはいえ海底は薄暗かった。それがひび割れた溶岩の明かりで真っ赤に染まっているじゃないか。その光が奥の奥まで続いていて、どこまでの距離になっているかも判らない。

 でかい。とにかくでかい。


「これが……炎海竜サラペントだと言うのか……。どうなんだセイレン」


 会話ができるようにまた竜神の逆鱗を口にしておく。


「え……あの」


 どうも歯切れが悪いな。


「どうしたセイレン」

「その、あたし、炎海竜サラペントとは戦ったんだけど……」

「まさか」


 セイレンは言葉を詰まらせてうつむいてしまった。

 ルシルがセイレンの肩に手を置く。それで気持ちが固まったのだろうな。


「ごめんっ!」

「いきなり謝ってもどういう事だか」

「あたし、炎海竜サラペントとは戦ったけど全体までは見てないの!」


 炎海竜サラペントと遭遇して撃退できなかったとセイレンは言っていた。確かにそれはそうなんだろうな。この大きさとセイレンの戦闘力じゃあ仕方のない事だ。

 俺だって驚く大きさだし、まだ端が見えないくらいだからな。こんな奴とまともに戦ったら怪我だけじゃ済まないだろう。


「大丈夫だよ!」


 なんだルシル、嫌に元気だな。


「ゼロだったらこの大きさでも平気、だよねゼロ!?」


 キラキラした目で俺を見るなあ。ルシルがそんなだからセイレンも期待に満ちた視線を送ってくるぞ。


「大丈夫だよね、ゼロ!?」

「本当なのゼロさん!?」


 美少女二人に見つめられて、これが海底火山が大噴火していて地割れから溶岩が噴き出しているこの状況でなければ嬉しい所なんだがな。


「あ、ああ。そうさ、こいつがどこまででかいかは判らないが、俺は神の住む巨大な空を飛ぶ島すら打ち砕いた男だぞ!」


 と、まあ半ば自分を奮い立たせるために言い切った。


「だよね!」

「凄いです!」


 言い切ったからには結果を出さなきゃな!

 改めて右手に持った剣を構え直す。これでまずは一撃を食らわせなくては。


「片手剣でもどれだけ行けるかなっ、SSSランクスキル発動、重爆斬ヘビースラッシュっ! 突き抜けろ、大地ごとっ!」


 力一杯叩き付ける剣。赤くひび割れた大地に突き立たせる。


「むぅ、手応えあり……」


 土や岩を貫いた時とは違う感触が腕に伝わり、その瞬間に大地がまた揺れた。

 それと同時に辺りをつんざく咆哮ほうこう


「水の中だと音の伝わり方が凄いな!」

「耳を押さえていないとどうにかなっちゃいそうだよ!」


 ルシルが言う通り、耳をふさがないと地上とは違う音の聞こえ方で頭がどうにかなりそうだ。

 それにだ、俺に対する殺意が向けられた事で耳の中も痛みが始まった。敵感知センスエネミーが反応しているという事。


「出てきやがったな……炎海竜サラペントっ!」


 地割れの中から土煙が沸き起こり、その中に光る目が俺を見ているじゃないか。

 なかなか戦い甲斐のある相手のようだな!

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