表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

529/1000

竜宮城

 おお、これはすごい。

 俺とルシルは竜神の鱗を口に咥えて海に潜ったが、息ができるし苦しくない。どんな仕組みかは判らないがこれはすごいな!


『ねえゼロ、この竜神の鱗を使うと海底散歩もできるんだね』

『そうだな。ピカトリスやセシリアたちにも教えてやりたいな』

『うん』


 俺とルシルは思念伝達テレパスで思念の伝達ができるからな、言葉を発しなくても意思の疎通は問題無い。ただまあこのスキルはルシルの能力だから、俺が乙凪おとなたちとは話せないんだけど。


『ゼロ、マーマンたちが何か指さしているよ』


 どれどれ。ポセイが示す方向には魚の群れがあるな。

 海はそれなりに透明度が高いが、もやのように曇っている部分もある。乙凪おとなが教えてくれたが、小さい虫のようなものが海の中に漂っていて、それがもやのように見えるのだとか。

 そうした小さな生き物がいない海はもっと澄んでいるとも聞く。澄み切った海は生き物が住まない死の海だという事らしい。


『これだけの魚がいるんだ。この辺りの海は豊かなのだろうな』

『そうみたいだね』

『ここから竜巻で魚が飛ばされたのかなあ』

『どうかしら……』


 ポセイたちが魚の群れの間を縫って泳いでいくぞ。岩場の影や昆布の林を越えてどんどんと進んでいく。

 乙凪おとなもマーマン三人男の後を追っていく。


『ルシル、俺たちはマーマンたち程速く泳げないんだ。その事を思念伝達テレパスで伝えてくれないか?』

『え、ゼロは好きでゆっくり進んでいるのかと思ったよ』

『そんな訳あるか。俺はそこまで泳ぎが得意じゃないんだよ。泳ぐだけならできるが、あんな魚みたいな速度では人間の限界を超えている』

『まあそうかもね。てっきり超加速走駆ランブーストとか使わないで海の底を楽しんでいるのかと思ったよ』

超加速走駆ランブーストだって瞬間的なスキルだからな。それにあくまで地上での高速化だし』

『そっかそっか、ごめんね』


 そう言いながらルシルは俺の腕にしがみついてきた。

 いったいどういうつもりだ?


『じゃあ、行くよ』

『へ?』

『Rランクスキル、海神の奔流(ウォーターバースト)!』


 それか! 船を高速で進めていたスキル。ルシルが俺たちの背後に伸ばした手から水流を噴き出させて、その圧力で前進するつもりだ!


『ごわぁあぁあぁ!』

『ゼロ、口を開けたら竜神の鱗がどっか行っちゃうよ!』

『そんな事言ってもだなあ、この水流は……速すぎだろう!』


 ほら、マーマンたちもあっという間に追い抜いてしまったぞ!

 水流でかき混ぜられた海底の砂が舞い上がって、俺たちの通った跡が煙みたいになっているし、魚の群れも必死になって俺たちから遠ざかろうとしているじゃないか。


『これじゃあ海底散歩どころじゃないな……』

『ねえゼロ』

『どうした?』


 ルシルがスキルを弱めていくと、それに合わせて速度も落ちてきた。


『あれ』


 珊瑚の森を抜けると、そこには巨大な建造物が。

 地上にある王侯貴族の宮殿と変わりがない、石や珊瑚で装飾されたきらびやかな建物だ。


『宮殿……?』

『ちょっと待って。マーマンたちに聞いてみるから』


 ルシルが思念伝達テレパスを使ってポセイたちに問いかけてくれる。

 俺も思念伝達テレパスが使えるようになると楽なんだけどな、勇者系には覚えられないらしい。


『あれが竜宮の都、竜宮城だって』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ