表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

516/1000

竜宮の戦士

 タジタジになって後ずさるマーマン三人男。そんな事なら初めから手を出さなければいいのに。


「こーれーはー、いったいどういう事なんだね、下半身テュルテュル男たちよ……」


 俺はあえて腰の剣に手を添える。これで相手に与える威圧感が増すというものだ。


「うっく、ぐぬぬ……」


 ほらな、手も足も出ないだろう。俺に歯向かう愚かさは覚えたようだな。


「それにしてもいきなりだったよな。お陰で水瓶も割れてしまったではないか」

「俺たち……俺たちは……」


 ポセイとか言ったか。真ん中の一人が拳を握って震えているじゃないか。

 ほらほら周りの奴も同調する……。三人揃ってうつむいたまま握りこぶしを作ってプルプルと震えている。


「力の差がどれ程あろうとも、竜宮の戦士は仇を前に退く事ができんのだ!」

「おうさ! たとえ俺らが勝てなくとも!」

「ああ!」


 勝手に盛り上がってきたよ、まったく……。脳みそまで魚レベルなんじゃないか?


「おいお前ら」

「な、なんだっ!」


 俺に向かって気丈に答えるという事は……。

 これは、来るだろうな。


「死ぬぞ」

「もとよりその覚悟っ!」


 吹っ切れたか。目に、言葉に力が宿った。


「俺らマーマン、たとえ陸上とはいえ戦いで朽ち果てるは戦士としての本望!」

「そうだ! 三人で行けば勝機はあるっ!」

「おぉ、煮えたぎってきたぞ!」


 マーマンたちは俺が渡してやった麻袋を破り捨てて鱗の禿げたテュルテュルのヌメヌメをさらけ出しやがった。折角魚を持って帰るための袋を貸してやったというのに、その恩を仇で返しやがって。


「いいだろう。命を惜しまずかかってこい!」


 俺の言葉に返事もなく周りを跳び始めたな。なかなかいい動きだ。


「だがまだ目で追えるぞっ!」


 俺は地面に落ちていた小石を拾って右の奴に投げる。手加減をしているからこれ一発で死にはしないと……。


「うっぎゃぁ!」


 あ、右肩が吹っ飛んじゃった。うわぁ、痛そう。倒れてのたうち回っているよ。


「ひゅっ!」


 正面の奴が口をすぼめて何かを吐き出した。噴水みたいに水を口から出したみたいだが、この勢いと圧力じゃあ結構痛いぞ。


「でもこのくらいの速度なら……」


 いや待てよ、俺の後ろにはセイレンがいた。座っているから丁度このマーマンの口から噴水に直撃してしまうか!? だがこの状況で後ろを振り向いて確認する時間なんて。


「Rランクスキル発動、氷塊の槍(アイススピア)っ! 飛んでくる水の矢を固めて落とせっ!」


 俺の放った氷塊の槍(アイススピア)を水流にぶつけてみる! これで凍ってくれれば少しは時間が稼げる!


「なにゅぅ、俺の竜水口を凍らせるだとぅ!」


 所詮は水の塊だ。俺の氷の槍で凍らせながら弾き飛ばしてしまった。

 後は左に跳んだ奴……なにっ!


「そこまでだ人間」


 遠回りして俺の背後を取ろうとしていた奴だから優先度を下げていたが……。そっちに行ったか。


「ふしゃぁ……」


 左の奴はセイレンの背後を取りやがった。手刀をセイレンの首元に当てている。

 一杯食わされたか。いや、まだだ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ