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創造神のスキル抵抗

 俺が剣を構えてもバイラマは動じない。それどころか氷の玉座でふんぞり返ったままだ。


「どうした勇者よ、その剣で予を斬ろうとでも言うのか?」

「その通りだよ。威力は十分判っているだろう」


 俺は大地を破壊し地殻の先の奥深くにある溶岩さえも噴き出させる程の力を持っているのだから。


「だが予の力も判っておろう」

「この凍結させる力か」

「そうだ」


 確かにバイラマの凍結させる力、いやそもそもが世界の物質を消し去る力にはどう立ち向かったらいいか判らない。


「だがな、先手必勝! SSランクスキル発動、旋回横連斬サイドターンスラッシュ! 斬り刻め回転する刃よ!」


 俺は剣を大きく振り回転を加える。俺の剣先はバイラマの身体を何度も斬り刻むはずだった。

 だが俺の剣が通過する都度、激しい金属音が鳴り響きバイラマの身体には傷一つ付かない。


「その程度の剣撃では予の氷すら打ち破れまい」


 冷静に俺の攻撃を手にしたつららで弾き返す。


「だったらどうだぁ!」


 俺は左手を突き出し冷気を身にまとう。


「Sランクスキル発動、凍晶柱の撃弾(フリーズバースト)! 氷には氷、冷気には冷気だ!」


 俺の手から大量の氷弾がバイラマに向かって放たれる。


「散っ!」


 バイラマが手を小さく振るうと、俺の放った氷弾が動きを止めて地面に転がり落ちた。

 だが氷弾がバイラマを負傷させるには力が足りないと俺は思っている。


「Sランクスキル発動、超加速走駆ランブースト! 駆け抜けろっ!」


 俺は座ったままのバイラマを背後から襲う。


「背中ががら空きだぞ!」

「どうかな?」


 俺の振り下ろした剣がバイラマの頭を叩き割るはずだった。

 だが俺の剣はバイラマの頭から拳一つ分浮いた所で止まってしまう。

 とてつもない力に押さえつけられて。


「予に剣が通ると思ったのか?」


 バイラマは首を後ろに巡らせて俺を見る。


「効かぬであろう」


 目を細めて冷徹な笑みを浮かべたバイラマ。もはやその姿はルシルとは似ても似つかぬ邪悪な表情をたたえていた。

 俺は素早く後ろに飛び退き間合いを取る。


「予の驚いたのはそのスキルというものだ」


 ゆっくりとバイラマが立ち上がり、服に付いた霜を払う。


「予の創った能力ではなかったのでな、どこからその要素が紛れ込んだかは判らぬが、予の知らぬ進化がこの世界で生まれたのであろうな」

「ほう、スキルは神の次元には無いというのか」

「無いな」


 スキルが無いという事であれば、俺の勇者系スキル……この世界最高で最強のスキルを発動させれば神とはいえども勝機はある。


「Rランクスキル発動、魔法障壁マジックシールド


 俺の周囲に対魔法の光る壁が現れた。


「それで予の冷気を防ごうというのか?」

「そうだ」

「よかろう、こらえて見せよ!」


 バイラマは右の手の平を上に向ける。何かを下から支えるような仕草で徐々に右手を持ち上げていく。


「……凝っ!」


 バイラマが勢いよく手を握ると、その瞬間俺の周りの空気が氷の粒となって四方八方から襲いかかってきた。


「まずい!」


 俺は横に跳んで受け身をとる。

 俺が立っていた場所に針状の氷が大量に突き刺さっていた。


魔法障壁マジックシールドを突き抜けて……だと」

「判っておるようだな。そなたらの使うスキルはごくごく一般の神に対してであれば効果もあったであろうが、この創造にして破壊の神には児戯にも等しい。効かぬが当然の事だ」


 どこかで記憶している。確かあれば凱王が言っていた事だったか。

 凱王は神との戦いを意識していた。そしてその対策として魔力吸収による魔術スキルの無効化があった。


「スキルを発動させずに、いや、効果を消されずにあの鉄壁の防御をかいくぐって攻撃をしなくてはならない、か……」


 俺は自分の口にした言葉に不安を感じてしまう。


「だが……」


 温度変化無効で寒さは感じないが、それでも流れてきた汗を手の甲でぬぐった。


「勇者が退く訳にもいかんだろう」


 俺は決意と共にバイラマをにらみつける。眼力で敵を射殺す事ができるのであれば、今まさにその能力を使いたいと思った。

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