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最後の浮き島と生殺与奪の権利

 落下する人々の救出は凱王たちに任せた。どうやら上手く助けてくれているようだ。

 俺たちは上昇をして新しい浮き島を下に見る。


「飛竜に乗って空を飛ぶとは、現地の者たちは面白い事をする!」


 光を放つ人型が俺たちに向かって氷の矢を投げてきた。


「そうはさせないよっ!」


 アラク姐さんが放つ糸で氷の矢を巻き取ってくれる。俺たちには一本も届かない。


「変な術を使うな……。こちらの島には現地の者がいなかったから判らなかったが、この次元では現地の者の能力が特異な物のようだ」

「何をごちゃごちゃと! SSランクスキル発動、豪炎の爆撃(グレーターボム)! あの光る奴を爆殺してやる!」


 俺の放つ豪炎の爆撃(グレーターボム)が浮き島に命中する。光る人型を中心に大爆発が起きた。


「やれやれ、なかなかの威力じゃないか」

「もう仲間の一人がやられちゃったか」

「現地の者を殺しても得点にはならないんだけどなあ」


 地面から何人もの光る人型が湧き出してくる。


「一体だけじゃなかったのか……」


 ウィブに上空を旋回させて俺たちはありったけのスキルを発動させた。


「いっけぇ!」


 浮き島の地面は大爆発と雷撃で埋め尽くされる。その都度光る人型が消えるのだが、次々と新しい奴が現れるのだ。


「これじゃあきりがないよゼロ!」

「いつかは終わるはずだ。俺たちに向けられた氷の矢はアラク姐さんが防いでくれる。ルシル、俺たちはあの光の化け物を倒し尽くすぞ!」

「いいわ、やってやろうじゃない!」


 浮き島はそれまでゆっくりとした動きだったが、段々と移動速度を上げてくる。


「浮き島が上昇しているぞ、ウィブ、もっと高度を!」

「わかっているからのう!」


 浮き島に合わせてウィブも上昇を始めた。お互いの距離が縮まらないように調整していく。

 その時、俺たちの後ろから風の塊が押し寄せてきた。


「なんっ、この風は!」

「ゼロ、後ろ……上っ!」


 俺が振り返るとそこには別の浮き島があり、俺たちをというよりその先の浮き島にぶつかる勢いで接近してくる。


「ウィブ!」

「承知っ」


 ウィブは軽い身のこなしで浮き島と浮き島の間をすり抜けていく。

 俺たちの過ぎ去った後に氷の矢が通過するが、それを風の塊が弾き返していった。


「そうれっ、ぶち当てろっ!」


 上にいる風を使う浮き島が下の浮き島に突っ込んでいく。上から強い力で押さえつけられて下の浮き島に亀裂が入る。


「くっそう、今回は上を取られたか!」

「現地の者に気を取られすぎだよ!」

「仕方がない、あーあ」


 下敷きになった連中は気の抜けた台詞を吐いて消えていく。

 俺はそんな奴らに薄ら寒いものを感じた。


「何なんだこの神を名乗る奴らは」

「自分たちが消えていく事に対してどうしてあんなに他人事なのかしら……」

「奴らはこの次元で消滅してもまた自分たちの世界に戻るだけ、らしいからな」


 そう考えると俺の心の中に納得のできない苛立ちが生まれる。


「あいつらは確かに強いのだろうが……」


 俺は自分の考えを口にする前に強く唇を噛みしめた。


「この世界で遊んでいるようにしか思えんのだ」


 ウィブが退避してくれたお陰で俺たちに被害はない。浮き島同士が勝手に攻め合って下の島が砕け散っただけだ。

 その上の浮き島から歓声が上がる。


「ようし、これで俺たちの島が最後まで生き残ったぞ!」

「やったな!」

「モンジュ組の勝利だ!」


 俺たちにとってはどうでもいい事だが、どうやら上の島の連中がこの一連のゲームに勝利したらしい。


「おめでとうモンジュ組の諸君!」


 聞き覚えのある声が大空に響き渡る。

 雲に映る巨大な影。


「バイラマ様!」

「おお、ついにマスターのお出ましだ!」


 沸き立つ浮き島の連中。


「予の権限をもって、そなたらモンジュ組にこの世界全ての権利を与えよう!」

「おお!」

「やったぜ!」


 浮き島を見ると、人型が三体喜びに小躍りしていた。

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