表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

488/1000

着地と増援

 迫る大地に向かって俺は右手を突き出す。


「Rランクスキル発動、凍結の氷壁(アイスウォール)! 氷の壁よ俺の足場となれ!」


 俺は作り出した氷の壁に乗り上に跳ぶ。落下する岩を跳んで渡った事と同じだ。これを繰り返して上昇していけばある程度、落下速度は緩める事ができる。


「後は重爆斬ヘビースラッシュで着地の衝撃を吸収すれば……」


 そう考えた所で俺は右手が剣に届かない事に気付いた。シーナが密着しているために左腰に差した剣に手が届かないのだ。


「それに重爆斬ヘビースラッシュの衝撃はこの娘にちときついか」


 戦闘に慣れていない一般市民では急激な高低差に身体が耐えられないという事はないだろうか。


「ええい、このまま落下するよりは……お。おおっ!」


 俺たちの身体が一瞬風に包まれる。


「Rランクスキル、精霊の飛翔(フライングシルフ)!」


 柔らかな風に包まれて俺とシーナがふわりと着地した。


「ご無事で、ゼロさん」


 そこに立っていたのは華美ではないものの質のよい仕立ての服に身を包んだ男と女魔法使い。


「ララバイ、それにマージュ!」

「ご無沙汰していますわ、ゼロさん」


 マージュが唱えてくれた精霊の飛翔(フライングシルフ)で俺もシーナも怪我一つなく着地する事ができた。


「ウィブさんが救援を依頼されにきた時は驚きましたよ」

「ララバイが言うことももっともだ。急にワイバーンが飛んできたらそれはびっくりもするだろうよ。だが助かったぞ、よく来てくれた」


 俺は駆けつけてくれた二人をねぎらう。

 一人はマルガリータの王、ノワール・ララバイ・マルグリット。もう一人の女魔法使いがララバイに仕えるマージュだ。


「我が軍の精鋭も到着していますよ。浮き島の事を伺いましたのでね」

「そうか、それはなによりだ。今からウィブや凱王……西の大陸で一国を治めていたブラックドラゴン、いや、ブラックドラゴンの身体に乗り移った王と言うべきか、まあそのドラゴン王たちが籠の中に民を入れて降りてくるのでな、その手助けをしてもらえると助かる」

「それはもちろん。して、ルシルさんは?」


 俺は降りてくるウィブたちが吊り下げている籠を指さした。


「あそこにいると思うが。皆無事に降りてくる所から、だな」

「そうですね」


 俺たちはゆっくりと降下してくるウィブたちを見守っている。その横では砕けた浮き島の破片が降り注いでいた。


「これで決着とは味気ない」


 空からそんな声が聞こえる。

 それと同時に氷の矢が無数に空を飛び回った。


「ぐきゃっ!」

「うわぁっ」


 ワイバーンやドラゴンに氷の矢が突き刺さり、籠の中の人々にも容赦なく貫いていく。


「なっ! 何やつだ!」


 空に充満する阿鼻叫喚の中、俺の叫び声が響いた。


「ゼロさん、あれを!」


 ララバイの示す先にまた一つ浮き島が空に漂っている。


「他の神か……」


 俺は歯ぎしりをしながら落ちてくる人々を見ているしかなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ