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一階の探索

 塔の探索にはこのところパーティーを組んでいる仲間で行う事にした。

 俺とルシル、アガテー、そしてアラク姐さんだ。


「では行ってくる。セシリア、皆を頼んだ」

「ああ、勇者ゼロも気をつけてな」


 俺は治療を続ける仲間とそれを護衛するセシリアたちから別れて広間から離れる。


「俺の予想ではこの宮殿のどこかにトリンプが……トリンプの身体を奪った凱王がいる。上層階にいればこの塔を破壊するような真似はしないだろう」

鉄巨兵ゴーレムは入ってこないって事ね」

「そうだ。それに数万の軍隊も一度には入ってこられない。それであればセシリアやベルゼルたちがいれば大丈夫だ」

「凱王が直接出てこなければ、ね」

「その通りだな」


 俺は外壁に沿って一階を調べるように歩く。

 外観から把握した感じでは、この塔は各階が正方形に近い状態でそれが積み重なっている、直方体に近い建物になっていた。

 そこから察するに、壁の内側もある程度は大きさが予測できるものだ。


「この廊下は外壁に合わせて四角く一周できそうだな」

「そのようですねゼロさん。手前から部屋を開けていきますか?」

「頼むアガテー。安全を確保すると同時に適切な部屋があればそこを使って皆を休ませたい」

「判りました。ではまずこの扉から開けますね」

「ああ」


 俺は剣を構えて扉の正面に立つ。


「ゼロ、横に避けていなくて大丈夫?」


 ルシルが心配してくれる。


「ああ、俺が正面に立つ事で何かが起きてもすぐ対処できる。弓矢の罠が仕掛けられていたとしても俺ならどうとでも対処できるさ」

「まあね、そこの所は信じているけど」


 アガテーが扉の取っ手をつまむ。

 ルシルとアラク姐さんは扉の脇の壁に貼り付いて身構えている。


「開けます」

「よし、やってくれ」


 アガテーが取っ手をひねり、手前に引く。

 扉はこちら側に開いて中の様子が見える。


「何も……問題は無さそうだな」


 俺は剣を構えながら部屋に入った。

 廊下から外壁に向かっての部屋だ。廊下を軸にして外側の部屋という事になる。


「窓は……鉄格子か。守るには適しているな」

「どうやらここは休憩室か、一般の控え室みたいな感じだね」


 ルシルの言う通り、それ程華美な装飾は無いが椅子やテーブルが置いてあり、部屋の脇にある戸棚の中には多少は飲み物も用意されているようだった。


「安全が確認できたらここも使ってもらおう」

「そうね。でも入り口のホールもそうだったけど、大きな街の真ん中にある宮殿とは言ってもあまり飾りも無かったし、戦用の城って感じがしたね」

「それは俺も思った。防衛のための最後の砦、そんな感じだな」


 俺たちは無骨な扉をいくつも開けていく。

 だがどれも無人で罠も無い。


「使用人もいないっていうのはおかしいよね」


 ルシルがそうつぶやいた時だった。


「おかしくはないさ、計略通りお前たちが罠にかかるようにしてたんでなあ!」


 俺たちが踏み入れた部屋の奥に上への階段があった。

 その階段の手前で一人の男が立っている。


「ようこそ死の百八階層第一の獄、守護のゼッヘーセンコン様の部屋へ!」

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