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空飛ぶ蜥蜴

 砂漠にいた虫の巣穴を壊滅させた俺たちは、ワイバーンのウィブに乗って凱国を目指す。


「トリンプ、記憶が戻ったりという事はないか?」


 俺の問いにトリンプは首を横に振って答える。


「そうか。凱王が言うにはトリンプはかなり重要な立場だったようだが」


 凱王はトライアンフ第八帝国皇帝、トリンプ・トライアンフと言っていた。

 皇帝ともなれば重要どころの騒ぎではないのだが。


「ゼロはトリンプを返しちゃおうかとか思っているの?」


 ルシルが質問を投げかけた。

 別段疑ったりするような視線ではないが、じっと俺を見ている。


「そんな事はしないさ。トリンプはトリンプだ、俺たちと一緒に旅をしている女の子だよ。トリンプ自身がそうしたいというのでもない限り、俺はああしろこうしろとは言わないさ」

「ゼロしゃん、トリンプゼロしゃんと一緒がいい!」


 トリンプが俺にしがみついて潤んだ瞳で俺を見る。


「いいかな、ゼロしゃん……」

「い、いいもわるいもないさ、そうしたければそうすればいい」

「じゃあトリンプがゼロしゃんのお嫁さんになっても?」


 ルシルが俺とトリンプの間に割り込んできた。


「ちょっと待ちなさいトリンプ。違う、それは違うわ」

「どして?」

「どうしても何も、ゼロはそんな、け、けけ結婚とか、そんな……」


 ルシルは顔を赤くしながらもごもごと言っている。


「じゃあルシルしゃんも一緒にお嫁さんになるー」

「はぁ!?」


 今度は俺が変な声を上げてしまった。


「ね、ルシルしゃんもだったらいいよね?」

「いやいや、違う、それは違うわトリンプ」

「ね、いいよねゼロしゃん?」


 俺は咳払いをして前方を見る。


「おい勇者よ」

「ああ、見えている」


 前方に黒い影が浮かんでいた。

 その影が段々と大きくなってくるという事は……。


「近付いてきているぞ! 皆、警戒しろ!」


 俺はウィブの背中に乗せた鞍で臨戦態勢を整える。


「まだ攻撃はするなよ、敵かどうかは判らないんだからな」

「うん……」


 俺は鞍から降りてウィブの首にまたがった。ルシルとトリンプは鞍の中でしゃがんでいる。

 アラク姐さんが鞍にしがみついて様子をうかがい、アガテーはくくりつけたロープでウィブの腹の下へ身を隠していた。


「うっ!」


 敵感知センスエネミーが相手の殺気を検知し、耳の奥が痛くなった。


「全員、戦闘態勢! 相手は接触前に敵意を向けてきた! 俺を殺そうとしているのを感じ取れたぞ!」

「判った!」

「いいわゼロちゃん!」


 ルシルとアラク姐さんが反応する。


「来るぞっ!」


 目の前に近付く黒い影はその形をはっきりとさせてきた。

 空を飛ぶ大きな蜥蜴とかげ


「暗黒の雲を吐くブラックドラゴン……。話には聴いた事がある……。お前の所にはいたか、ルシル?」

「流石の私たちもあの凶暴なブラックドラゴンは配下にいなかったわ。それだけ危険で扱いが難しいのよ」

「そのようだな。だがそのブラックドラゴンを操っているとなれば……」


 俺はブラックドラゴンの背にまたがる人の姿を見た。

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