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力量をわきまえないから返り討ちに遭うのだ

 俺の腕にしがみつく女性。そして俺たちを半包囲する五人の兵士たち。

 一触即発の状態になってルシルが間に入った。


「ねえゼロ、この人たちが引き渡せって言っているんだから、争いごとに巻き込まれるような事はしなくていいんじゃないかなあ」


 ルシルは俺と女性を見て呆れたような口調で自分の意見を述べる。

 それに同調したのか兵士たちからも声が上がった。


「その嬢ちゃんが言う通りだよ、その女をこっちによこしたらお前らには痛い思いをさせないで済むぜ?」


 兵士たちは剣を抜いていやらしい笑みを浮かべながらにじり寄ってくる。


「うーん、さて。どうしたものかな。とは言うもののお前たちの言い草が気にくわないのでな、そこをどう納得させてくれるかなんだが」


 俺は柄に手をかけている男の一人に居合いの一閃を放った。


「なっ!?」


 男の手にしていた剣は柄を断ち切られてしまう。男は柄だけを握り折られた刃は鞘に落ちてしまった。


「お、俺の剣が……!」

「野郎、やりやがったな!」


 俺は戦闘にならないように武器を破壊したつもりだったが、剣を折られた側からすると単なる挑発にしかならなかったようだ。


「魔族風情をかばう奴だ、斬って捨ててしまえ!」

「おうさ!」


 男たちが一斉に俺に向かって突進してくる。

 剣を折られた奴も懐から短剣を取り出して攻撃してきた。


「俺を納得させてくれるような事にはならなかったな」

「しょうがないよねゼロ」

「ルシル、お前だってあの言い方は気にくわないだろう?」

「まあね。だからいいよ、どうせブラッシュの連中は滅ぼすつもりだったんでしょ」


 俺はルシルの言葉に肩をすぼめてみせる。


「何をごちゃごちゃ……」


 わめき散らしていた一人の顔に一本の赤い線ができた。


「ふぁっ、ほわっ……」


 その男の鼻の辺りで顔を真横に区切る線ができ、その線を境に顔が左右にずれていく。


「ほふぁっ!」


 顔の上半分が吹き飛ばされてその男は絶命する。

 噴水のような血しぶきでたじろぐ兵士たち。その一瞬で俺は近くにいる奴を狙う。


「魔族がどうとか、その言い方が気にくわないんだよな」


 俺は今一度居合い斬りで縦に一閃すると、狙った男が縦に割られて左右に斬り放たれた。


「ひぃっ!」


 目にも留まらない斬撃を受けて仲間が無残な死に様を見せたからだろう。残る三人は怖じ気づいて動きを止める。


「何よりも不愉快なのは俺に対して剣を向けた事だ。相手の命を奪おうとするのであれば己の命も奪われる覚悟あっての事と知れ!」


 俺は覚醒剣グラディエイトを抜き放ち横向きに剣を構えると立ちすくむ兵士たちをにらみつける。


「Sランクスキル剣撃波ソードカッター発動。俺の敵をその真空の刃で斬り割け!」


 そのまま横薙ぎに一閃すると、剣から解き放たれた斬撃が三人の兵士を襲う。


「あ……ぐぁ!」

「びゃぁ!」

「ごぴゃぁ!」


 三者三様の断末魔を放って男たちは事切れる。


「魔族だからって差別はするなよ」


 どうせ俺の声は聞こえていないだろうが、それでも俺は言わずにはいられなかった。

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