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沖合いの海戦

 俺が指示をして持ってこさせた船団は拿捕した巨大船三隻。

 レイヌール勇王国などから集めた移民や捕らえた敵兵だった者たちを乗せてコームの町を目指していた。

 そこに横から突如現れた中型の船が五隻、帆を大きく広げていた。


「俺たちの船は櫂を使って進む船で輸送を目的としているからな、武装は無いに等しい。そもそも海上の戦闘は考慮されていない船だ。それに比べて敵の船は帆を使った小回りの利く船ときた」


 まだ距離がある。俺は敵船から放たれる火の玉が俺たちの巨大船に命中する所をただ見守るだけだ。


「それに敵は魔術系スキルを持った奴もかなりの数乗船させているようだな」

「ゼロ、もう少し待って……。私の海神の奔流(ウォーターバースト)、もっと強く出すようにするから!」

「辛いだろうが頼む! 敵船に接近できれば俺たちに勝機はある!」

「うん!」


 俺たちは一方的に敵船が攻撃をしているところへと飛び込んでいく。


「よしルシル! 船の勢いは落ちても構わん、飛んでくる火の玉を撃ち落としてくれ! 手が空くようなら船の消火も手伝ってやって欲しい」

「頼みすぎだと思うけどまあいいわ!」


 文句を言いながらもルシルは頼んだ以上のことをやってのける。

 そこは魔王といったところか。流石だ。


「ベルゼル!」


 俺は帆を操る黒衣の魔族に向かって指示を飛ばす。


「ここからなら敵船へ俺を運べるか?」

「ワタクシの飛行能力はそれ程優れてはおりませんので、ゼロ様をお運びするまではちと難しいかと存じます」

「そうか、なら届く範囲まで船を近付けてくれ」

「かしこまりました、それでは!」


 ベルゼルは巧みに帆を操ると、船が急旋回して敵船に突っ込んでいく。


「相変わらず火の玉は巨大船を狙いに行っているな」

「私たちの船を狙う攻撃はしてきていないみたいだけど……」


 ルシルは火の玉を撃ち落としながらも状況を説明してくれる。


「確かに巨大船の方が的が大きいからな、狙いやすいのだろう。だがルシルが敵の攻撃を防いでくれているから敵の目がこちらに向くのもそう先ではないはずだ」

「でもこれくらいなら直撃弾だけ消していけばいいから、そう難しくもないけどね」


 ルシルは余裕なそぶりを見せた。


「それではワタクシが敵を黙らせましょうか」

「できるかベルゼル」

「お任せ下さい。Rランクスキル暗黒の棘(ダークネス・ソーン)を発動いたします!」

「例の連続攻撃か」

「いかにも」


 ベルゼルがスキルを発動させ、無数の棘が敵の船に向かって放たれる。


「ただ突き刺さっただけのように見えますが、それはこのための布石。弾けよ、Sランクスキル黒棘の引き裂き(ソーン・トーン)!」


 ベルゼルの両手が左右に広がる。その仕草に合わせて敵船に突き刺さった無数の棘が弾けて飛んだ。

 その亀裂から船に穴が空き二隻に浸水が始まった。


「そいつらは無力化できたろう。残り三隻か。近くにいる一隻は俺が……Sランクスキル剣撃波ソードカッター! 敵船をその真空の刃で斬り割け!」


 俺は気合いもろとも剣を振り下ろし敵船に真空波を放つ。

 直撃した敵船は舳先から真っ二つに割れて船員共々海中に沈んでいった。


「戦闘可能な敵船は残り二隻!」


 沈みゆく敵船の奥に残る二隻の船がある。


「全速前進! 突っ込むぞ!」


 俺は掛け声と共に敵船へ突き進んでいった。

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