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王宮大爆破

 俺はコーム王国の兵士たちと奴隷の兵士たちの戦うその中に突入していく。


「ゼロ危ないよ!?」

「大丈夫さ、俺は」


 ルシルは俺の後をついてくる。

 一応心配してくれているのだろう。


「さてと、この辺りでいいかな」


 俺は近寄る兵士たちを峰打ちではたき倒し王宮の正面に立つ。


「裏門を突破したとかで正面が薄くなっているのが幸いしたかな」


 そうつぶやきながら剣を構えた。


「SSSランクスキル発動っ! 重爆斬ヘビースラッシュ! この俺の剣の一撃は城の一つや二つ、消し去ってくれる!」


 俺が放った重爆斬ヘビースラッシュは王宮の上部を吹き飛ばし塵に変える。

 その攻撃は上空へと消え、通過した空に浮かんでいた雲に丸い穴ができた。


「地面に向かって放たなかったからな、勢いは空に逃げただろうが。それでも王宮を吹き飛ばすには十分だったようだな」


 俺の一撃で今まで戦っていた連中の動きが止まる。

 辺りに聞こえるのは瓦礫の崩れる音だけだ。


「いいかお前たち!」


 俺は戦う手を止めた連中に大音声で問いかける。


「戦いを止めろ! 今すぐだ! さもなくばこの俺が相手になろう! かかってくる者はいるか!」


 俺が王宮を吹き飛ばした姿を見た者はもちろん、この状況で俺の質問に答えられるような奴はいなかった。


「王は捕らえ副王も滅した。市民も奴隷ももはや隔てる壁はない! この国は俺が預かる! 俺の国に、俺の大陸に攻め寄せてきた者は全て無力化した。奴隷軍は捕らえ王国軍は全滅させた。この国の兵士たちはもう戻ってはこないのだ!」


 今だ知らされていない事柄に全員が息を呑む。


「俺が討ち滅ぼした中にはお前たちの親兄弟もいるだろう! だから俺に降れとは言わん。俺に従うをよしとしない者はこの地より去れ! 他国に逃れ再起を期すもよかろう! その時は正々堂々と相手になってやる!」


 俺の強さはこの場にいる者全てに伝播していた。

 もはや戦おうとする者は誰もいない。

 武器を捨て逃げ去る者が出始めると、その動きは次々と広がっていった。


「逃がしちゃっていいの?」

「従わない者が残っても言う事を聞かないだろうからな。それであれば残る事を望む奴だけで十分だ。まあ、そんな連中がどれだけいるかは判らんがな」

「そうよね……」


 それこそ蜘蛛の子を散らすように、それまで敵味方で戦っていた奴らが逃げ去っていく。

 だがそれでも残る奴がいる。

 奴隷区にいたチンピラどもだ。


「あんたは奴隷軍を捕らえたと言ったな」


 チンピラが俺に近寄ってくる。


「別に奴隷区にいたからって俺らはそいつらと仲がよかった訳でもねえが、剣奴将軍は、ドレイクはその捕虜の中にいるのか?」


 剣奴将軍のドレイク。俺が捕らえた剣闘士で、俺のスキルに耐えた強者だ。


「ああ。ドレイクも、奴隷貴族のドレープ・ニール伯爵とやらも降っている。俺たちの大陸で新たな人生を歩んでいるぞ」

「あの伯爵もか……。判った、俺らはあんたに従う、いやあなたに剣を捧げよう! 奴隷としてではなく自由の戦士として!」


 奴隷区にいたチンピラたちは、剣を掲げて俺に忠誠を誓った。


「よかろう、受けよう。お前たちは自由民の戦士としてこの国の新たな秩序に協力して欲しい」


 俺がそう宣言すると、チンピラだった戦士たちは一斉に雄叫びを上げる。


「よし、戦闘に加わらなかった連中にもこのまま降る事をよしとしない者はいるだろう。お前たちは町全体に触れを出せ。町を出る者は明日中に荷をまとめて去るがいいと。そして、俺に従う者は平穏と繁栄を共に分かち合おうと!」


 コーム王国はここに滅び、コームの町はレイヌール勇王国の属州としてこれから栄える事になる。

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