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門前の攻防

 俺は奴隷区のチンピラどもと別れ、シルヴィアが連れて行かれた沿岸警備隊の詰め所へと向かう。

 丁度その時ルシルから思念伝達テレパスで思念が飛んでくる。


「ゼロ失敗したよ。私たち見つかっちゃった」

「見つかったと言ってもシルヴィアのお付きの者と言えば問題無かろう」

「そうだと思ったんだけどね、隠密行動を取ろうとした所を見られちゃって、不審な動きをする者だ~、って兵士が騒ぎ出しちゃったんだよ」


 ルシルが言うように少し門の近くが騒がしくなっていた。


「もう手は出したのか?」

「向こうからね!」

「判った俺も駆けつける。なるべく手荒な事はするなよ?」

「うん……」


 ルシルの思念が返事をしたと思った時に門へ巨大な雷が落ちる。


「……あはは、思ったよりおっきなの落ちちゃった」

「おいおい……。その程度にしておけよ、俺の雷が落ちないようにさ」

「う、うん……」


 俺は急いで門まで走って行く。

 国の内側と外側を隔てる壁に付いている門、その脇に人一人が出入りができる程度の小さい扉がある。


「ここが沿岸警備隊の詰め所がある所か……」


 もう門の前は蜂の巣をつついたような騒ぎになっていた。


「ゼロ!」


 ルシルとベルゼルが俺の方へ駆け寄ってくる。

 その後を警備隊の兵士が追ってきてた。


「シルヴィアは中か!?」

「うん。私たちは失敗したけど……」

「あいつが?」


 ルシルがうなずく。

 隠密入影術(ハイドインシャドウ)で隠密行動を取っているアガテーがシルヴィアの近くにいるらしい。


「あの警備隊長の色目が気になっていたところだけどな」

「小部屋に通されちゃって、そこまでは侵入できなかったのよ」

「仕方がないな」


 何発か雷撃を受けたのだろう。壁の一部が焼け焦げて煙を上げていた。


「正面突破で行けるかな」

「いいの? 騒ぎが大きくなったらまずいと思ってそれはやらなかったんだけど」

「もうここまで大騒ぎにしちゃっているんだから今更だろう。こうなっては仕方がない、突破して中枢を占領するぞ!」


 俺は向かってくるコーム王国の沿岸警備隊と衛兵の混成部隊に向かって歩き出す。


「おいお前ら、俺たちの船長を返してもらうぞ! 勝手に連れて行きやがって、どうなるか判っているんだろうなあ!」

「なんかゼロ、チンピラみたい」


 さっきのチンピラとの問答で俺も奴らの勢いが移ったかな。


「怪我をしたくなかったら道を空けろ、Sランクスキル発動、風炎陣の舞(フレイムストーム)! 我が手より生まれし炎よ、風に乗り渦となって敵を蹴散らせっ!」


 俺の両手から放たれた炎の渦が門に向かって一直線に突き進んでいく。

 立っていた木が一瞬で灰になってしまう程の威力だ。

 俺のスキルの威力を目の当たりにした連中は一歩下がって俺たちの行く道を空ける。


「ベルゼル、門……いや、壁ごと破壊してしまおうか」

「承知いたしました、ゼロ様」


 ベルゼルは両手を大きく広げて印を結ぶと周囲に魔力が広がり始めた。


「出てきなさい、動く骸骨(スケルトン)たちよ!」


 どこに埋まっていたというのか、地面が盛り上がったかと思ったらそこから骸骨の戦士たちが無数に這い上がってくる。


「こんな門の手前で死体なんかあったのか?」

「いえ、海が近いので貝殻が地層になっている部分がございまして、その材料を再構成させた物でございます」

「そんな事ができるのか、凄いな……」

「恐れ多い事でございます」


 生物の骨でなくとも貝殻を素材にして動く骸骨(スケルトン)を組み上げてしまうのか。

 確かによく見れば動く骸骨(スケルトン)は貝の模様が見えたりフジツボが付いていたりもする。


「だが相手にしてみれば元が貝かどうかなんて関係ないんだろうな」


 コーム王国の兵士たちは骸骨の戦士たちを見て腰をぬかしたり逃げ出したりする奴らが出てきた。

 これなら門の突破は時間の問題か。

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