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西の大陸からの渡来者

 俺は覚醒剣グラディエイトを抜き払って集団に突入する。

 正面に見えるのは日に焼けて浅黒い肌の男たち。この近辺には見られない服装で湾曲した刀を手にしていた。


「噂に聞いた西方の大陸の者たちか」


 俺に対しても矢を放ってくるが、着地してから超加速走駆ランブーストを発動させて駆け抜けているため矢は俺の残像を虚しく通過するだけだ。


「なっ、こいつ速……」


 男の一人が驚いている隙に男の剣をはたき落とす。

 取って返す刀で近くにいた奴の手の甲を切り裂く。

 次に正面の男のすねを斬る。切断には至らないが骨折くらいはしているだろう。


「距離を取れ! 奴は手練てだれぞ!」


 集団の中で指示を飛ばす奴がいる。

 見たところ兜に赤い飾り羽根が付いていた。


「奴が指揮官か」


 俺は言葉を残して身体は超加速走駆ランブーストで指揮官の背後に回り、その兜を跳ね上げる。


「ひいっ!」

「それが部隊を束ねる者の覚悟か」


 宙に舞った兜が地面に落ちて派手な音を立てると同時に指揮官は腰砕けになって尻餅をついた。


「こやつを、お前らこやつを討ち取れっ!」


 座り込んでいる状態でもまだ指揮官はわめき散らしている。


「誰を討ち取れって?」


 俺は指揮官の首元に剣先を当てた。一歩踏み込むだけで首が落ちる状況だ。


「うっ、く……ええい何をしておる、こやつを討ち取れぃっ!」


 震える声で指揮官が命令をすると周りを取り囲んでいた男たちが一斉に襲いかかってくる。


「なるほど、その覚悟天晴(あっぱ)れ」


 俺は指揮官の首を刎ねると向かってくる男たちを迎え撃つ。

 振り下ろされる刀には身体を斜めにしてかわし、横に払ってくる者には剣で受け流す。

 飛んでくる矢を左手ではたき落として低い姿勢でつかみかかってくる奴には蹴りを入れて吹き飛ばした。


「指揮官は討ち取った! まだ抵抗を続けるか!」


 俺が制止をしても男たちはぎらつかせた目で俺に向かってくる。


「仕方がないな。もはや無力化だけでは済まないと思え」


 俺はそれでも向かってきた男の胴を斬り払う。背後に迫った奴は逆袈裟斬りに切り上げて倒す。振り上げた剣をそのまま右手にいる男の頭上に振り下ろして唐竹割りに斬って捨てた。


「つ、強い……。鬼神のごとき戦ぶり」


 男の一人が額の汗を拭うと、その手を口元に当てる。

 甲高い口笛の音が辺りに響き渡った。


「援軍を呼んでもお前たちの運命に変わりはないぞ」


 俺の剣が口笛を吹いている男の腕ごと首を刎ね飛ばすと、剣を振り降ろして付いた血を風で拭う。


「今更ながらに聴こう。お前たちが瘴気の谷を襲った連中の一部隊で間違いないな?」


 俺はまだ息のある奴を足で仰向けに転がし質問をしてみる。


「我らはお前ら原住民を踏み潰して安寧の地を得んがためこの地へやってきたのだ……。我ら全てを殺したとしても更に押し寄せる波のように後続の軍が攻めてくるだろうよ……」

「ほう、俺の国へ土足で入り込んだ奴がどうなるかこれで理解したと思ったが、そうではないらしいな」


 俺はしゃがみ込んで男の胸ぐらをつかむ。


「死にゆく者に言っても詮無き事だが……」


 俺は息絶えた男に向かって語りかけた。


「お前ら一人たりとも故郷の土は踏めないと思え」

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