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岩石の巨人

 俺の発動させた円の聖櫃(サークルコフィン)が飛んでくる巨大な岩を弾き飛ばす。


「単純な物質には最強の盾となる円の聖櫃(サークルコフィン)だ。どんな物だろうと通しはしない!」


 俺は飛んでくる岩石や大木を次々と弾き飛ばしていく。


「これではいくら守ってもきりがないぞ……」


 少し焦りにも似た苛立ちが俺の中で生まれてくる。


「ゼロ、大丈夫!?」


 ルシルが階段を上ってきて、俺の事を心配そうに見ていた。


「あの時みたいに頼めるかルシル」


 俺の考えを察知したのか、ルシルの顔が明るくなる。


「それならほら!」


 青空に広がる黒い影。飛んでくる岩石などとは別の大きな影だ。


「助かる!」


 俺は物見のやぐらの崩れた壁から飛び降りる。

 両手両足を広げて高い塔から滑空する形になった。


「勇者! 間に合ったかのう」


 慌てていてものんびりとした口調。


「怪我をしているところ済まないな、ウィブ!」


 俺は飛んでいるワイバーンの背中に飛び乗った。

 ルシルがヴォルカン火山の時のように、ワイバーンのウィブに思念伝達テレパスを使って呼んでくれたのだ。


「なあに、人間の静養する寝床など儂には窮屈でのう。早く空に出たかったのだよ」

「ははっ、無茶しやがる」

「それはお互い様だのう!」


 俺はワイバーンのウィブにまたがり、岩の飛んでくる場所を示す。


「あの方向からでかい物が飛んでくる。何がそれを投げているのか見極めたい。できればそれを止めたいのだが……まさかあれが……」

「見極める、とな? 勇者も見えているだろう、あの大男の事を」


 そうだ。森の木々よりも一回りも二回りも大きい生き物がそこに立っていた。

 ひげ面の大男でまさに雲を突くかのような背丈の巨人が櫓に向かって岩石や大木を投げつけている。


「魔族……? ヒルジャイアントはあそこまで大きくないし、見たところ岩? 皮膚が岩でできているようにも見える……」

「あんなに大きな人間は見た事がないからのう」


 確かに大きい。この櫓程の大きさではないにしろ、マルガリータ王国の城壁よりもはるかに大きい。

 森の木々で一番育った木でさえ腰に届くかどうかといった辺りだ。


「なんて大きさだ。あいつにしてみれば投げる岩石も手のひらの大きさくらいなのだろうか」


 飛んでくる大木も奴にしてみれば手首から肘の長さ程度。それもこれだけの距離を平気で投げてくる。


「ストーンジャイアントか。魔法生物かそれとも魔族が成長した姿なのか」

「行ってみるかのう?」

「ああ頼む。だが気をつけてくれよ、あんな岩に当たったらただでは済まないだろうからな」

「またあの狭い人間用の寝床へ戻るのはごめんだからのう」


 俺はウィブの冗談を笑い飛ばして、岩石の巨人へ向かうように指示を出す。


「振り落とされるのではないぞ」


 ウィブがそう言うと、回避行動を取りながら岩石の巨人へと向かっていった。

 俺はウィブにまたがりながら剣を抜くと、巨人に向けて構える。


「Sランクスキル凍晶柱の撃弾(フリーズバースト)発動! 投げてくる物を弾き飛ばせ!」


 俺は氷の柱を造り出し、岩石や大木をことごとく撃ち落とす。

 その様子を見て、岩石の巨人はそのゴツゴツとした顔を俺たちに向けた。


「ようやく俺たちを見つけたようだな」


 俺は岩石の巨人をにらみつける。


「さぁ、行くぞ!」

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