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高位の電撃系スキル

 バーガル親衛隊のマクドールと名乗る魔族の男が手から雷を放出する。

 草原には高い木などは無いため、マクドールが狙った通り俺に向かって電撃がほとばしった。


「SSランクスキルの爆雷煌サンダーシュートだと! ルシルが意識を無くしていた時にアリアが使った高位スキルを扱えるなんて、そんな魔族が他にもいるというのか!」


 電撃系スキルはルシルが得意としてた魔法だ。ルシルの魂の受け皿となっているアリアも使う事ができるが、今のルシルはルシルの妹のレイラに魔王の能力を奪われてしまい、高位魔法を使う事ができない。


「流石にこのレベルだとRランクでは対処できない……。魔法攻撃は円の聖櫃(サークルコフィン)では防げないし」

「どうするのゼロ!」


 俺は覚醒剣グラディエイトに自分の魔力を注ぎ込む。


「魔力を帯びた剣であれば……」


 魔力で生成された電撃だ。魔力同士の相殺ができるだろうか。


「試してみるか!」


 俺は空中を走ってきた電撃に向かって覚醒剣グラディエイトを差し向ける。

 電撃は、より伝わりやすい物質へと向かってきた。俺の剣にだ。


「剣で……打ち消せぇっ!」


 俺の手にした剣に雷が落ちる。

 その瞬間、辺りに激しい光と衝撃波が広がった。


「手が……しびれる……」


 力を入れていないと吹き飛ばされそうな重さが手に伝わる。


「なっ!」


 マクドールの顔から余裕の表情が消えた。

 俺の持っている剣には魔力を注入し続けている。

 その魔力が電撃の進行を抑え、結果として雷が刀身にとどまっていた。


「雷を……帯びている、だとっ!」


 魔力を帯びた剣が、さらに電撃をもその身にまとっている。


「消えずにとどまるとは俺も予想していなかったが」


 手が震える。魔力の放出がかなりの量だ。


「どうやら返してやった方がよさそうだ……なっ!」


 俺は超加速走駆ランブーストを勇者補正のSランクで発動させ、瞬時にマクドールの目の前まで移動する。


「は、はやっ」


 マクドールが驚く一瞬に、俺は帯電した剣を叩き込んだ。

 上段から真っ直ぐにマクドールの身体の中心を雷が通り、地面へと抜けていく。額から足下まで高熱の火花が飛び散った痕になった。


「ぐ、ぐがぁ……」


 マクドールは白目を剥いて背中から倒れる。剣の直撃はしなかったが、自ら放った電撃で倒れてしまった訳だ。


「こんな奴が上位ランクのスキルを使えるなんてな。戦闘経験はそれ程無さそうだが、今まで反撃らしい反撃は受けた事がなかったのかもしれないな」


 そうこうしているとルシルやララバイたちが追いついてきた。


「ゼロさん、ここは私が一旦この者を引き取ります。状況や裏事情も確認したいので」

「そうしてくれるか、ララバイ。だが、こいつをそのまま城郭へ連れて行くのも少し考え物だが」

「そうですね、近くに物見のやぐらがあります。そこの地下牢へ入れるとしましょう」


 ララバイの説明では、この草原の監視を行う石造りの櫓があるらしい。通常数名の兵士が常駐しているのだが、先の戦闘で今はまだ配備が完了していないという事だった。


「そうだな、俺もこいつからいろいろ聴きたい事がある」

「ゼロ、痛いのはやだよ?」

「大丈夫だ、痛いのは初めだけだからな」


 俺は不穏な台詞を吐いてマクドールを縛ったロープの端をつかむと、そのままララバイに案内されながらマクドールを引きずっていった。

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