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蜥蜴と竜

 狭い洞窟の少しだけ開けた場所、ヒカリゴケのおかげで少しは周りが見える。

 そこで襲いかかってきた蜥蜴人間リザードマンたち。ルシルが思念伝達テレパスを使って交渉をしてみるがそれもうまくいかずに戦闘開始となった訳だが。


「なんだこいつら……! 確かに俺は洞窟や暗い場所での戦闘は慣れていないが、それでもここまで手こずるとはな!」


 蜥蜴人間リザードマンたちは厚みのある刃の剣、鉈を大きくしたような武器を使ってくる。重く幅広で動きが鈍りそうなものだがそれを感じさせない。


「迷いがない……。それに物陰や暗がりから攻めてくる」


 どうしても俺は光を頼りに動いてしまう。

 蜥蜴人間リザードマンたちは俺をあざ笑うかのように俺の見えにくい場所から狙ったかのように攻撃を仕掛けてくる。

 ルシルに円の聖櫃(サークルコフィン)をかけておいてよかった。ルシルの方から攻撃をしなければ外側からの物理攻撃は弾き返す事ができる。


「厄介だな」


 俺はあまり距離がつかめない。そのため蜥蜴人間リザードマンたちを狙った剣がかすりもしないのだ。


「いてっ!」


 久し振りの感覚。痛みだ。


「俺が、傷を……?」


 左腕に切り傷ができていた。さっき暗がりから出てきた蜥蜴人間リザードマンの攻撃が俺をかすめたのだ。


「やるねえ。ここまで不利な状況はなかなかないぞ」


 俺は剣を納めて近寄る敵の気配に集中する。

 左側から斬りつけてきた蜥蜴人間リザードマンの振りかぶった腕を払う。右下から攻撃してくる奴には足払いで攻撃を遅らせる。


「Sランクスキル発動、閃光の浮遊球(フローティングライト)っ!」


 俺は胸の前で左の手のひらを上に向けてスキルを発動させると、俺の手のひらの上で光の球が猛烈な輝きを放って空中に飛び出した。

 その瞬間は目を閉じる事で明るさに耐えるが暗闇に慣れた目でこの光の爆発をまともに見れば……。


「夜目が利くのはこういう所で徒になるな!」


 俺は抜き払った剣で蜥蜴人間リザードマンたちの剣を片っ端からたたき折っていく。


「全員で五人か。それだけの人数でよくもここまで俺を手こずらせてくれたな。大した連携だ」


 武器を破壊した際の衝撃で手が痺れている蜥蜴人間リザードマンたちが眩しさに目がくらんで立ちすくむ。


「ルシル頼む、思念伝達テレパスで無駄な抵抗をやめるように……」

「それには及ばないぞ、人間」


 洞窟の奥、まだ光の届かない暗闇から声が聞こえた。


「誰だ、出てこないか!」

「そういきり立つでない、少年」


 俺の放った光の中に現れたそれは、蜥蜴人間リザードマンとは身体の造りからして異なった生物だった。見た目は確かに人型爬虫類のそれなのだが、全身の骨格、筋肉の付き具合、足の指と爪の太くしっかりとしたところや蜥蜴人間リザードマンよりも獣じみた手。


「まさか、ドラゴニュート……」

「ほう、人間の中にも我々の存在を知っている者がいようとはな。いかにも我はドラゴニュートの火竜三晶星が一人、氷結のファズバーンである!」

「なっ……!」


 ルシルが驚きの声を上げる。


「火竜なのに氷結!?」

「そこかよっ!」

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